2010年の発売開始から、“酒のつまみ”に特化した商品づくりで話題を呼んでいる国分株式会社の缶詰シリーズ「K&K缶つま」。価格競争が激化する缶詰において、こだわりの食材と新しいアイデアを売りに1個500円前後の高級路線を打ち出し、大ヒットしている。初年度から売上げ1億8000万円と好調に滑り出して、年々拡大。なんと今年は20億円に達する見込みだという。
いまや国分を代表する商品となった「缶つま」が、どのようにして生まれ、また育っていったのか。生みの親である同社の食品統括部オリジナル商品第一担当の森公一副部長に聞いた。
1冊の本との出会いが「缶つま」を生み出した
「もともと缶詰の市場は縮小しており、商品ラインナップも果物や水煮など定番のモノしかありませんでした」国分の「缶つま」が生まれる以前の缶詰マーケットについて聞くと、森さんはこう切り出した。
「価格競争も非常に厳しく、取引先との商談でも中身よりも『価格を安くしてくれ』という要望ばかりでした。今、生鮮品は流通インフラが整備され、冷凍食品やレトルトなど様々な形態の保存食品もあります。さらにコンビニや宅配サービスなどでいつでもどこでも食品が手に入る時代ですから、長期貯蔵する商品への需要もそこまで高くありません」
常に厳しい価格競争にさらされ、成熟しきった缶詰マーケット。だからこそ「安いモノばかり売っていていいのか、缶詰そのものに何か付加価値を持たせられないか」と考えていたという。そんななか出会ったある本が、新たな缶詰文化を生むきっかけとなる。
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