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【体験レポート】なまはげ発祥の地・男鹿市で生まれたクラフトサケ醸造所「稲とアガベ」の魅力

皆さんは、「クラフトサケ」をご存じでしょうか。現在の日本では、日本酒を造るための免許の新規発行が原則認められていません。そのため、その他の醸造酒製造免許を取得して、近年クラフトサケ業界へ新規参入する若い醸造家が増えています。

今回はそんな酒造りに情熱を持つ「稲とアガベ」というクラフトサケ醸造所をご紹介します。ここでは酒造りだけでなく、地元食材を活用したレストランや街づくりのプロジェクトにも力を入れ、地域活性化に貢献しています。

今回はその醸造所の特徴と魅力について、「クラフトサケ」、「食」、「街づくり」という観点からご紹介していきたいと思います。

稲とアガベとは - 築90年の駅舎を再利用した醸造所

「稲とアガベ」は秋田県男鹿市で2021年の秋に創業した醸造所です。JR男鹿線の終点である男鹿駅から徒歩わずか1分。男鹿駅の旧駅舎を再利用しています。

5年程前までは、ふつうに駅として使われていたそうです。駅らしい特徴を残したまま最低限の改築を施すことで、地元の人々の思い出を継承しています。

ちなみに男鹿市はユネスコ無形文化遺産に登録されている「なまはげ」発祥の地としても有名で、醸造所の前には駅の名残で「なまはげ」の銅像がそのまま残されています。なまはげの恐ろしい形相が、厄災を払い、良いお酒が造れそうです。

男鹿駅の旧駅舎を再利用した醸造所

稲とアガベを知るキーワード :「クラフトサケ」

「クラフトサケ」(クラフトサケブリュワリー協会の定義)とは、日本酒の製造技術をベースとしたお酒、または、そこに副原料を入れることで新しい味わいを目指した新ジャンルのお酒です。いま、日本では有望な造り手が次々とこのジャンルで事業を起こし、発展しています。

稲とアガベでは、酒質設計を代表の岡住修兵氏が担当し、スタッフ常時3名程で夏場を除くほぼ1年中クラフトサケを造り続けているそうです。ゴールデンウィークに訪問した際もちょうど仕込みの真っ最中でした。

「クラフトサケをきっかけに清酒にも興味を持ってもらえると良い」と醸造所担当者の方がおっしゃっていました。

駅舎にあった改札口をそのまま活かした醸造所の裏口

稲とアガベを知るキーワード  : 「食」

醸造所にはレストラン「土と風」が併設されています。日中はカフェとして、「稲と甘酒シェイク」や「鶏出汁と山椒カレー」などの軽食を楽しむことができます。

鶏出汁と山椒カレーは、数量限定。秋田名物の比内地鶏の出汁の旨味に山椒オイルの爽やかさがクセになる一品です。

発酵マヨネーズをベースにした「発酵ウフマヨ」をカレーにトッピングすれば、最高に贅沢なカレーが完成します。

稲と甘酒シェイクは、濃厚なミルクソフトの甘味が口に広がり、カレーとの相性が抜群でした。

発酵ウフマヨをトッピングした極上の「鶏出汁と山椒カレー」
カレーと相性抜群の「稲と甘酒シェイク」

「土と風」は、お酒を飲めない人や家族連れでも訪れられる憩いの場所となっていました。

ちなみに夜は、秋田出身で京都フレンチにルーツをもつ若手シェフが、とっておきのコース料理を提供しているとのことです。

稲とアガベを知るキーワード  : 「街づくり」

稲とアガベがある男鹿駅周辺にはかつて、ラーメン屋やパン屋など様々なお店が営業していたそうです。今ではその店のシャッターが閉じ、男鹿の街並みも変わってしまいました。

そこで男鹿を観光地として活性化させることを目指す稲とアガベは、今年の4月に醸造所近くに 「SANABURI FACTORY」をオープンしました。そこでは、酒粕が主原料の『発酵マヨ』やラーメン専用の『クラフトサケ』や八朔や桃の『どぶろく』など期間限定商品を購入することができます。

お酒を地域メディアと捉え、それきっかけで男鹿に観光客が戻ってくるような取り組みを今後も展開されていく予定だそうです。

新しいお酒の体験を求めるだけでなく、地域文化への深い敬意と共に、男鹿市の新たな魅力を創出し続ける「稲とアガベ」からは目が離せません。酒蔵プレスは、そんな若い醸造家が活躍する未来を応援していきたいと思います!

―最後に、稲とアガベ担当者から読者へのメッセージ

お酒を核として、男鹿に来てもらうきっかけを少しずつ増やすことに取り組んでいます。来るたびに景色が変わっていく男鹿を皆様に見せられるよう精一杯がんばっていきますので、是非皆様、定期的に男鹿に遊びに来てください!スタッフ一同心よりお待ちしております。

今回ご紹介した酒蔵について

【秋田県】
稲とアガベ醸造所
秋田県男鹿市船川港船川新浜町1−21
https://inetoagave.com/

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酒蔵プレス編集部

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