世界的な和食ブームを背景に人気が高まる日本酒の増産がピンチに陥っている。原料の酒米作りが需要の伸びに追いつかないためだ。昨年度まで酒米が生産調整対象だったことに加え、代表的な「山田錦」は栽培が難しく、収穫量が簡単に増やせないことも影響しているという。酒造会社からは「造りたくても造れない」と苦渋の声が上がっている。
静岡県の地酒「正雪」を生産する「神沢川酒造」(静岡市清水区)は仕込み時期を迎えている。8月までの売り上げは好調。望月正隆社長(52)は「在庫が既に切れてしまっている銘柄もある」と話す。だが、増産は難しいという。「山田錦がしっかり確保できない」のがその理由だ。
酒どころで知られる京都市伏見区の「都鶴酒造」でも仕入れは厳しい。「以前は山田錦が足りないなんてことはなかったのに」と内田浩司社長(50)。2年前、急にこれ以上は仕入れられないと業者から言われるようになった。「無理して仕入れようとすると値段が高くて」。必要量は確保できたが、増産は難しい。
一方、海外で人気が高まっている日本酒は輸出が急増。国税庁の統計によると2013年の輸出額は105億円で、10年前の約2.7倍に。各地の酒蔵から「酒米が足りない」との声が寄せられ、農水省は14年度から酒米の増産分を生産調整の対象から外した。
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