地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第93回目の当記事では、山口県岩国市(やまぐちけんいわくにし)の八百新酒造(やおしんしゅぞう)株式会社を特集します。
米蔵を酒蔵に変えて酒造りを始めた
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
創業1877年(明治10年)。江戸時代には、山口県の東部を流れる”錦川”が瀬戸内海に注ぎ込む河口近くに岩国藩の米蔵がありました。
明治維新以後、藩からそこを譲り受けた我々の創業者が米蔵を酒蔵に変えて酒造りを始めました。
酒蔵の前には船着場があり、錦川の上流から運ばれてくる原料米は”雁木(がんぎ)”と呼ばれる階段状の桟橋から水揚げされていました。
銘柄の「雁木」は八百新酒造の原点であり原風景です。
―代表銘柄は?
「雁木」のラインナップには純米酒しかありません。米そのものの可能性を引き出すことに打ち込みたいからです。
また、活性炭素を用いて出来上がった酒を濾過することも必要としません。搾りあがった酒が二次加工を必要としない完成度に仕上がることを自らに課しているからです。
余計なものを足したり引いたりせずシンプルに酒造りに向き合っています。
―イチオシ商品はなんですか? 地元の食材・料理とはどんな合わせ方がおいしいですか?
- 雁木 ノ壱 純米無濾過生原酒
文字通り雁木シリーズの原点です。2000年「雁木」は「ノ壱」1アイテムでスタートしました。
のびやかでしっかり味がのった生命力溢れるお酒です。
冷やして、常温で、あるいは上燗で、それぞれ楽しめます。
例えば、鰆の西京焼き(ゆずの皮のみじん切りを添えて)、甘鯛の昆布締め、との合わせは無敵です。
関係するすべての方々へ感謝
―酒造りではどんなことを心がけていますか?
- 自己肯定に基づいて進化していくこと
- 情報共有
- チームワーク
- 関係するすべての方々へ感謝
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
八百新酒造近郊の中山間部の「祖生」という地域でのことです。2018年の西日本豪雨による土砂崩れの被害を受けて耕作放棄地となった棚田を3人の地元若手農家が蘇生させました。
その棚田で山田錦の自然栽培を弊社と農家が共同で実施しています。
収穫した米を原料に醸した「雁木MUSUHI」を本年リリースします。
―最後に、読者へのメッセージをお願いします!
一度飲んだ方に、「ああ、今日は『雁木』飲みたい!」と、時々思ってもらえることをイメージしながら酒造りをしています。
皆さまの生活に寄り添えるお酒になれるよう頑張ります。
今回ご紹介した酒蔵について
【山口県】
八百新酒造株式会社
https://www.yaoshin.co.jp/
山口県岩国市今津町3-18-9
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