地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第272回目の当記事では、和歌山県岩出市(いわでし)の吉村秀雄商店(よしむらひでおしょうてん)を特集します。
吉村秀雄商店の酒造りの歩み
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
大台ケ原に源流を発し、流域の自然を育みつつ紀伊水道に注ぐ紀の川。
弊蔵はその流域・岩出の地で吉村秀雄が大正4年に創業。灘で習得した酒造技術を生かした「根来桜」や「日本城」といった銘柄で長く親しまれ、2000年代に入ってから「車坂」を立ち上げました。
2013年、長らく但馬杜氏が務めた杜氏職に、能登杜氏の藤田晶子が就任。それまでに無かった生酛・山廃造りを中心に、米の旨みを引き出し、キレのあるお酒を理想に酒造りを行っています。
―代表銘柄は?
熊野古道の小栗判官伝説から名付けた「車坂」。
和歌山市内に残る坂と、小栗判官の甦りの物語をモチーフとしています。
生酛・山廃を含む特定名称酒のみの銘柄。全ての酒を瓶貯蔵し、酒質に合わせた温度で蔵の地下や冷蔵室で貯蔵。BY別に出荷し、特約店を介し皆様にお届けしています。
―イチオシ商品はなんですか?
「日本城 上撰」
本醸造クラスでキレも良く、やや辛口ですっきりと飲めますが、旨味もしっかりとしています。
昔から地元で親しまれてきたお酒ですが、2023年の能登杜氏組合能登町支部きき酒研究会にて普通酒の部で1位に輝くなど、その味わいは着実に進化しています。
お薦めの飲み方:お猪口からコップまでお好きな器で。50度以上の燗酒がオススメ。
地元料理との合わせ方:太刀魚の塩焼き、金山寺味噌、南高梅の梅干しのある食卓で。和歌山ラーメンと早なれ寿司のおともにも◎。
和歌山の気候を活かした麹造りの工夫
―酒造りで心がけていることは?
理想の酒を造るのに必要なのは、いかにして米の旨味を引き出せるか。
そのための鍵は、麹造り。和歌山の気候は乾燥しているので、蒸米や麹を乾燥させないように気を付けています。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
「根来桜」などの銘柄の大元となっている根来寺。
国宝の大塔を擁し、桜・紅葉の名所としても知られています。
周辺には、スイーツやパン屋がオープンするなど、ドライブで立ち寄るのにもおススメのスポットです。
―最後に、読者へのメッセージをお願いします!
自然豊かな観光地として注目を浴びることが多くなってきた和歌山。
「車坂」のみならず、地元銘柄の「日本城」を知ってもらい、吉村秀雄商店の、ひいては和歌山の歴史に興味を持っていただけると幸いです。
今回ご紹介した酒蔵について
【和歌山県】
株式会社吉村秀雄商店
和歌山県岩出市畑毛72番地
https://nihonsyu-nihonjyou.co.jp/
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