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伝統的な木造土壁の蔵で行う力強い酒造り【初日の出、羽田、脱兎、六友】羽田酒造有限会社-京都府

地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第14回目の当記事では、京都府京都市(きょうとふきょうとし)の羽田酒造(はねだしゅぞう)を特集します。


地域に合わせた、力強い酒質

―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。

羽田酒造は京都市京北で日本酒を製造する創業約130年の酒蔵です。
当社は、京都盆地より遥か北、自然に囲まれた山間の町で酒造りをしております。桂川水系の上流部にあり標高が高いため、特に冬の気温は低く、雪景色もきれいな場所です。

ここ京北は、古都への木材供給地として産業発展してきました。今でも主要産業は林業で、力仕事の方が多い地域であるため、当社も力強い酒質を目指しています。

また京北は、古都と日本海を結ぶ重要な物流ルート上にあり、歴史も深い地域です。当社も創業以前、江戸時代は丹波篠山藩の飛地を管理する宿郷という役所であったため、今でも蔵の隣には江戸時代に建てられた町屋が残っています。

―代表銘柄は?

代表銘柄の「初日の出」は、古くからの地元銘柄として親しまれてきました。また、めでたい名称であることから祝い事に使っていただく機会が多く、純米大吟醸等の贈答用アイテムも多数揃えています。

次に「羽田」シリーズは、飲食店やスーパーなどでいつもの食卓のお酒として気軽に楽しんで頂けるよう、主に関西地方で業務用商品として販売しています。

最後に「脱兎」シリーズは、全国の酒専門店と連携し、季節にあったおすすめの酒を年6回、限定販売で提供させて頂いております。

三銘柄で幅広くラインナップしていますが、全て辛口の日本酒で料理とよく合う酒質になっております。

純米吟醸原酒「六友(りくゆう)」は味噌の牡丹鍋などのジビエ料理にも負けない力強さ

―イチオシ商品はなんですか? 地元の食材・料理とはどんな合わせ方がおいしいですか?

純米吟醸原酒「六友(りくゆう)」は出荷数が最も多い代表商品です。香りはフルーティーさに加えて熟成感もあり、複雑性を楽しんで頂けます。また原酒のため、しっかりと飲みごたえがありますので、肉料理などのメインディッシュに合わせて頂くことをおすすめしております。

ここ京北の料理は、派手さはありませんが、山の自然の力強さを楽しめます。特に「六友」は、味噌の牡丹鍋などのジビエ料理にも負けない力強さがあり、かつ、アユの塩焼きのような繊細な料理にも華やかさを添えられる日本酒です。ぜひ一度、お試しください。

酒蔵プレス編集部

酒蔵プレス唎酒師による「純米吟醸原酒「六友」」テイスティングノート

●香り
爽やかさと華やかさが交わり、みずみずしいフレッシュな自然の香りがします。朝露のように、すっとなくなる香りも特徴的です。

●味わい
舌先にくる米の甘み、その後に広がるジューシーさ、喉越しの力強さとキレ、余韻の旨味が感じられます。原酒の力強さと米のダイレクトな甘みと旨味が綺麗にまとまっている味わいです。

●ペアリング
焼き鳥(タレ)しか勝たん。ピリ辛な甘じょっぱいタレとの相性は抜群です。食中酒として米を食べたくなるおかずには間違いなく全て合います。

●総評
強い香りというよりフレッシュで減衰の早い五百万石らしい香りとアルコール度数17.5%と少し高めなことで飲みごたえがあります。そして、原酒らしい力強さが、上品にまとまっている奥深い日本酒です。


―酒造りではどんなことを心がけていますか?

仕込水は硬度120の中硬水であり、酵母が力強く発酵します。このことを活かして、しっかりと発酵を進め、甘味を残さない辛口の日本酒に仕上げるよう心がけています。また、麹を強く育て、しっかりと米を溶かし、ボディの強い飲みごたえのある酒を目指しています。

酒造りは伝統的な木造土壁の蔵で行っており、気温を管理する設備はありません。このため、しっかりと外気温の下がる冬季のみ、自然の冷気を活かして醸造を行っています。
その他、米や微生物の状態を手の感覚や嗅覚で確認しながら、一本一本の仕込を丁寧に行っています。

―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。

ここ京北は、2020年の大河ドラマで取り上げられた明智光秀ゆかりの地でもあります。当社の裏山には、戦国時代に明智光秀が築いた山城があり、昨年は登山姿の方が多く訪れていました。また近くの慈眼寺には、眼光鋭い漆黒の明智光秀像がまつられており、こちらもおすすめです。

当社には、京北を遠方から訪れる方に楽しんでいただけるよう、テイスティングルームもあります。酒蔵見学はお断りしておりますが、日本酒の魅力を試飲しながら楽しんで頂けますので、ぜひお越しください。

―最後に、読者へのメッセージをお願いします!

ここ京北は、実は、JR京都駅からバス1本、1時間30分で来られます。大自然の中ですが、公共交通機関でもお越しいただけるとてもアクセスのよい穴場ですので、ぜひ一度京北にお越しください。

また、当社の日本酒をお買い求めいただける場所は、ホームページ、インスタグラム、フェイスブックで発信しております。ぜひ一度、ご購入いただき季節の料理と共に楽しんでいただければ幸いです。

今回ご紹介した酒蔵について

【京都府】
羽田酒造有限会社
http://www.hanedashuzo.co.jp/
京都府京都市右京区京北周山町下台20

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酒蔵プレス編集部

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