地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第22回目の当記事では、京都府京丹後市(きょうとふきょうたんごし)の木下酒造(きのしたしゅぞう)を特集します。
杜氏はイギリス出身のフィリップ・ハーパー。酒造りの主テーマは『熟成』。
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
京丹後市久美浜で天保13年(1842)の創業以来、約180年にわたり『玉川』の酒造りを継承しております。現在はイギリス出身のフィリップ・ハーパーが杜氏を務めており、豊かな発想力と挑戦的な酒造りで玉川の新たなファンをつくりだしています。
特に、当蔵に住みつく微生物を最大限に活かした酵母無添加の生酛・山廃酛で造る『自然仕込』シリーズは、玉川の根幹・個性ともいえるお酒を醸しています。
玉川は『熟成』を主テーマとしており、「しぼりたて」として酒が生まれた瞬間から熟成酒に変化していく神秘的なプロセスを大切にし、五感と時間軸でお客様に深い感動を経験していただけるよう日々酒造りに励んでおります。
―代表銘柄は?
”玉川“という名前は、創業当時から蔵のすぐ隣を流れている川上谷川 に由来しております。
創業当時(江戸時代後期)、川上谷川 は玉砂利を敷き詰めたような清流であり、当時は非常に綺麗な清流を「玉のような(とてもきれいな) 川」と呼び、川や湖を神聖視する習慣があったようです。
そのため、私たちも玉のように素晴らしい日本酒を造りたいという気持ちを込めて、創業時から当蔵が醸す日本酒を「玉川」と名付けました。
―イチオシ商品はなんですか? 地元の食材・料理とはどんな合わせ方がおいしいですか?
定番商品の”玉川 自然仕込 純米酒(山廃)無濾過生原酒”です。『自然仕込』シリーズ第1号である本商品は酵母無添加の山廃酛から生まれた酸とアミノ酸が豊富な純米酒。
五味が力強く表現され、コクも切れも抜群。生まれたての無濾過生原酒は冷やしても燗にしても旨く、熟成すればするほど味わいが深まって燗で花が咲くように風味が広がります。
但馬産北錦で仕込むメインバージョンの他に、「造り方」や「玄米品種」を変えた限定品もあります。
玉川はたくましく、“変化を楽しむ”酒です。
―酒造りではどんなことを心がけていますか?
酵母無添加の生酛系酒母で造る『自然仕込』など酒造りの拘りは多くありますが、造りを終えた後の“日本酒の熟成”に精力的に取り組んでいます。
「日本酒は若いほど美味しい」とよく言われますが、玉川はたくましく、“変化を楽しむ”酒です。酒造期には「しぼりたての酒」も提供していますが、しぼりたての酒は“出発点”と考えており、時間軸での変化を味わっていただくために商品の多くは蔵内で寝かせてから熟成酒として出荷しています。
出荷している商品のほぼすべてに醸造年度を表示しておりますので、同じ商品でも造った年度による違いや、熟成期間や熟成環境の違いで生まれる個性や魅力を実感していただけるのではないかと思います。
―最後に、読者へのメッセージをお願いします!
新型コロナウイルス感染症拡大により飲食店、イベント等でお酒を飲むことができなくなっておりますが、外で飲めない分もご自宅で安全に楽しんでいただけたらと思います。
今回ご紹介した酒蔵について
【京都府】
木下酒造有限会社
https://www.sake-tamagawa.com/
京都府京丹後市久美浜町甲山1512
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