地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第21回目の当記事では、青森県上北郡(あおもりけんかみきたぐん)の盛田庄兵衛(もりたしょうべえ)を特集します。
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
近江高島から北廻船でのみちのく青森七戸へ渡世。安永6年(1777年)創業となります。
代々盛田庄兵衛を襲名して参りました。(現社長11代目は初代平治兵衛を襲名)
七戸地方は、平安の和歌に読まれた尾駮の駒、宇治川の戦いでの武将の乗馬、近代はダービー馬の産地として知られています。
駒の里の泉をもって醸した「駒泉(こまいずみ)」ブランド、山田錦と華吹雪を掛わせた品種「華想い」で醸す「七力(しちりき)」、やませといわれる寒冷な気候のもと田作りする「作田(さくた)」、かすみ状のうすにごり「雪中八甲田(せっちゅうはっこうだ)」など、地域に根ざした多彩な酒造りを行っています。
東北新幹線七戸十和田駅から車で5分、三沢空港より30分、青森空港より70分。岩手県から青森県の南部地方にある戸(へ)の街。しちのへは、最も北に位置します。
―代表銘柄は?
- 七力
山田錦と華吹雪をかけ合わせて誕生した華想い米だけで醸される純米吟醸酒で全国新酒鑑評会やフランスのクラマスターで金賞の実績があります。華やかな香りと重厚な味わいが特徴です。
- 作田
八甲田山麓の作田地区の篤農家であった作田氏が作田川からの清水で栽培したレイメイが起源。レイメイから品種改良された華吹雪での特別純米酒となっております。
軽さとコクの調和した純米酒で料理を引き立てる食中酒です。
―イチオシ商品はなんですか? 地元の食材・料理とはどんな合わせ方がおいしいですか?
青森だけの素材で造る各種商品ですが純米吟醸酒「七力」が特におすすめです。しちのへ蔵の力、青森の七軒の酒販店のみで販売されるこの酒は、特にキラリと光るブランド。
七転八倒の気持ちで仕込みますが、ブランド名は横からも裏からも七力と読めることが証左で苦労をいとわず芯の通った商品です。
キリッと冷やして青森の北洋ガラス製の日本酒グラスで。やや厚みのあるグラスでは、よりいっそう深みある味わいが生まれます。陸奥湾の帆立貝のマリネや茹でたトゲクリガニなど青森の食材との相性は群を抜きます。華やかな香り、ふくよかで深い味わいが七力の特徴です。
現を見つめて正す心構えが肝要
―酒造りではどんなことを心がけていますか?
水・米・麹・酒母・醪・槽・火入と酒造りの工程では、変化を注意深く観察しながら、基本に徹したうえで適切な手段を選択します。初心を忘れずに先ずは安心安全に、工夫を凝らしながら、個性を確立すべく行っています。
技能における習練工、武道における守破離、芸事における能妙神などといった修行と同じよう、酒づくり全般においても、現を見つめて正す心構えが肝要と捉えます。私達の手わざが科学に理に適い旨い酒が生まれてくると考えています。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
国立弘前大学農学部の殿内暁夫先生が白神や八甲田で見出した酵母505-27株と青森県弘前工業技術センター齊藤知則先生が研究した原料米「華さやか」に注目が集まっています。
弊社は、精米歩合60%にて低温(12℃程度)発酵させた純米吟醸酒原酒とした製品化予定です。近年あらたに発見された日本酒の香り4MMPという香りのするお酒です。マスカットのような、草のような、自然の若々しい香りで、自然の酵母特有のチョコレートのような甘い香りもある。しっかりと感じられる米の旨味、重厚さと切れを感じる酒となっています。きわめてレアな酵母と酒米の組み合わせ商品です。
観光では、ねぶた祭りなど体験型の滞在施設としておすすめの星のリゾート青森屋や先行発売されている貴醸酒「華頂」が話題です。ひょうたん型のびんに詰められた純米吟醸づくりで、南部裂き織りが付帯されており、オリジナルの華頂山がデザインされた手提げ袋に入れられ、お土産品として人気となっています。ナッツや香ばしい深い甘みが特徴。青森県の華酵母シリーズから選抜した株を使用しています。
―最後に、読者へのメッセージをお願いします!
買って飲んでみて下さい。きっと新たな発見があります!
今回ご紹介した酒蔵について
【青森県】
株式会社盛田庄兵衛
http://www.morishou.co.jp/
青森県上北郡七戸町七戸230
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