sake 酒蔵レポーター

【取材レポ】日本最北の酒蔵・国稀酒造に行ってきました!

国稀酒造(北海道増毛町)の蔵見学に行ってまいりました。
その日はあいにくの小雨模様。最高気温は15℃。寒さに震えながら、体をあたためてくれる美酒への渇望はいやが上にも盛り上がります。

国稀酒造があるのは、北海道北西部、日本海沿岸に位置する増毛町。「ぞうもう」ではなく「ましけ」と読みます。
JR北海道の増毛駅が2016年に廃止になったので、交通手段はもっぱらバス。車を運転すると肝心のお酒が飲めませんからね(笑) 今回は札幌のターミナルから沿岸バス「特急はぼろ号」で留萌市内のバス停まで北上しました。所要時間は2時間14分。そこから路線バスに乗り換えて日本海を眺めながら増毛町まで南下しました。ここでの所要時間は40分。でも、地元民のおばあちゃんたちとおしゃべりしていたら、意外とあっという間でした。

国稀酒造の最寄りのバス停は「旧増毛駅」。時刻表で帰りのバスの時間を忘れずチェック。本数が多くないので、とっても重要です。気分はほとんど『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』ですね。
そこから歩くこと3分。ついに到着です!

国稀の歴史、増毛町の歴史

蔵斜め

苦労の甲斐あって辿り着いた国稀酒造。感慨はひとしおです。

駅名標

酒蔵のドアを開け中に入ると、目に飛び込んできたのがこの駅名標。もちろん「なんちゃって」のものですが、ちょっと吹いてしまいました。

この増毛町は、かつてニシンの豊漁による好景気が続き、酒の需要が増え続けていました。しかし、当時、日本酒の多くは本州からの移入酒ばかり。価格も安くはありませんでした。そこで、佐渡出身で酒造りの知識もあった本間泰蔵氏が明治15年に創業したのが国稀酒造の始まりだそうです。

見どころ満載の資料室

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今回の見学では、光栄なことに、林眞二社長(写真右)と企画課の佐藤敏明さん(写真左)が案内してくださいました。
国稀酒造は林社長のご実家とばかり思い込んでいたところ、実は奥様のご実家。林社長は東京のご出身で電機関係の会社でお勤めをされていたのですが、20年ほど前に急遽、経営者として跡を継がれることになったそうです。北海道の中でも北の方の知らない町に移住して、しかも全く畑違いの業界に飛び込むとは、さぞ勇気が要ったことでしょうね。

資料室では、明治から続く国稀の歴史に触れる酒造りに触れることができます。かつて使っていた道具や酒器、古いラベルなどが展示されています。

この資料室はもともと長年製品庫として使用していた石蔵を資料室に生まれ変わらせたもの。3階建てのこの蔵の中央を貫くのは、土台から3階まで同じ太さの一本柱である大黒柱。100年の樹齢をゆうに超える、北海道産のトド松からは、国稀酒造を支えてきた気概と誇りがにじみ出ているような印象を受けました。

ワクワクの試飲コーナー

国稀酒造のお酒は、暑寒別(しょかんべつ)岳連峰を源とする清らかな水と、吟味した良質の米を使用し、伝統的な南部杜氏の技で醸され続けています。その国稀酒造のお酒を、全種類、しかも無料で試飲させていただけるコーナーがここにはありました。

林社長@試飲コーナー

試飲コーナーでも、林社長が自らお酌をしてくださいました。酒米や造りなどの説明を聞きながら、あっという間に全種類を制覇。社長、飲ませ上手すぎです(笑)

国稀佳撰

国稀酒造の全生産量の約4割はこの『国稀 佳撰』だそうです。ついつい特定名称酒にばかり目が行ってしまいがちですが、創業以来長きにわたって、地元の人に寄り添い、地元の人から愛され続けているこの普通酒は、まろやかでスッキリした実直な味が魅力的でした。ちなみに『国稀』という名の由来は乃木希典大将。創業者が実際に面会し乃木大将の素晴らしい人格に感銘を受けたことがきっかけだそうです。

売店では『パ酒ポート』でお得に購入♪

月涼し

大満足の試飲の後は、売店へGO!
いろいろ買った中でも気に入った一本が、こちら『純米吟醸原酒 月涼し』。
「地元限定」かつ「6月限定」というレアものです。酒米は北海道産の『吟風』。フルーティーな香りと、原酒のコクが味わえる銘酒です。

パ酒ポート表紙

売店では、『パ酒ポート』を提示すると嬉しいサービス付き!

『パ酒ポート』とは、北海道内の酒造所を巡る「大人のスタンプラリーBOOK」です。
国稀酒造では、1000円以上の購入でお猪口をプレゼントしてくれます。お酒の造りの工程が学べるイラスト付き。非売品というのも酒飲みゴコロを刺激します。

実際に蔵を訪れて蔵の方から直接お話をうかがったお酒は美味しさ倍増。自宅で蔵の皆さんの笑顔を思い浮かべながらこのお猪口で飲むと、体も心もじんわりほっこりあたたまります。

国稀酒造のそばには、今は亡き高倉健さん主演の名画『駅』のロケ地や旧増毛駅など、観光名所もいろいろあります。日本酒ファンはもちろん、健さんファン、鉄道ファンの方なら大満足の素敵な場所・増毛町、オススメです!

【取材】柴田 亜矢子
国際唎酒師、日本酒伝道師。日本酒の魅力を国内外に発信すべく日々活動中。

【酒蔵情報】
酒蔵名:国稀酒造株式会社
住所:北海道増毛郡増毛町稲葉町1丁目17
蔵見学:9時~16時30分
※10名様以上の場合は、事前にご予約をお願いいたします
入場料:無料
休業日:年末年始・その他(ご確認下さい)
アクセス方法:公式HPの「アクセスマップ」をご確認ください
http://www.kunimare.co.jp/user_data/company.php
駐車場 大型バス用3台、普通自動車用30台
公式サイト:http://www.kunimare.co.jp
観光情報:http://mashike.jp/tourism/
問い合わせ先 電話:0164-53-1050、0164-53-9355(売店直通)
e-mail:info@kunimare.co.jp

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酒蔵プレス編集部

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