地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第69回目の当記事では、岐阜県中津川市(ぎふけんなかつがわし)の恵那醸造(えなじょうぞう)株式会社を特集します。
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
創業は1818年(文政元年)、農業を営んでいた長瀬家5代目幸右衛門が酒造株を取得し創業しました。
越後杜氏、南部杜氏と伝承し現在は長瀬家11代目が蔵元杜氏となり、岐阜県産“ひだほまれ”と湧き水を使い、家族中心の酒造りを続けています。
酒蔵は、岐阜県中津川市、標高600mの山あいの棚田にあり、大自然真っただ中の酒蔵ならではの酒・農業・里山の在り方を考えて、地域に根差した酒蔵を目指して奮闘中です。
―代表銘柄は?
酒名=鯨波(くじらなみ)、眼前に広がる山々の上を流れる雲が鯨に似ている事から命名されました。
鯨波=大波の意味もあり、跳躍・挑戦などの願いも込められています。
鯨波は、冷やで鶏ちゃん、ぬる燗で鮎の塩焼きがおすすめ
―イチオシ商品はなんですか? 地元の食材・料理とはどんな合わせ方がおいしいですか?
鯨波-純米吟醸無濾過生で、ひだほまれを使用したフレッシュでバランスのよい生原酒です。
鶏肉に味噌と醤油で下味を付け、鉄板で炒める郷土料理、鶏ちゃん(けいちゃん)をお供に、冷やして頂くのがおすすめです。
また、付知川(つけちがわ)の鮎の塩焼きには、純米をぬる燗で頂くのも良いです。
酒蔵プレス唎酒師による「鯨波 純米吟醸 無濾過生」テイスティングノート
●香り
非常にさわやかな生酒で、奥深くに無濾過の力強さを感じられる香り。
●味わい
口当たりは角のない甘さを感じ、その甘みが継続し、余韻となります。喉越しのキレがよく、さっと消えていくような味わいです。ドライトマトのような旨味とほどよい酸味、苦味が特徴です。
●ペアリング
玉ねぎドレッシングを合わせたえび入りのサラダと合います。日本酒のほどよい苦味がアクセントになり、甘みとふくよかさが玉ねぎと同調し、えびの旨味が際立ちます。
●総評
無濾過でさわやかな香りは非常に面白い体験です。無濾過生原酒より力強さは抑えられ、ふくよかさと甘みが味に深みを出しています。
―酒造りで心がけていることは?
地元のものを使って造って飲んでもらう事を心がけています。
岐阜県には“ひだほまれと”いう酒米があり、このお米が80%程を占めており、自社田でも作付し、近隣農家での栽培を増やしており、裏山からの湧き水を使い、全量を和釜で蒸しあげ、佐瀬式で搾ります。
毎年変わらぬ酒造りを続け、出荷できる事が一番であると思っています。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
栗きんとん発祥の地として知られる中津川には和菓子屋がたくさんあり、和菓子の食べ比べがおすすめです。
また、木曽川を見渡す高台には苗木城跡があり恵那山や市街地を一望することができます。
巨岩を使った山城は珍しく、近年多くの観光客が訪れており、このお城のお殿様が江戸末期、当蔵の酒を愛飲していたと伝えられています。
“とのまち”(殿様が待ちわびる酒)は、苗木城跡の日本百名城選定を記念して復刻した一品です。
中津川の山奥で江戸時代から続く酒蔵へぜひお越しください
―最後に、読者へのメッセージをお願いします!
岐阜県、中津川の山奥で江戸時代から酒造りを続けています。
酒蔵は、国道から7キロも山に入った中腹にあり眺めがよく、眼前には木曽の山並を見る事ができます。
段々たんぼで“ひだほまれ”を作り、畑で野菜を作り、隣には川が流れており、夏には蔵にたくさんの提灯を灯して盆踊りイベントを行い、冬の朝は和釜の蒸気がもくもくと上がります。
四季の表情を感じられる酒蔵に、ぜひお越しください。
今回ご紹介した酒蔵について
【岐阜県】
恵那醸造株式会社
http://www.kujiranami.jp/
岐阜県中津川市福岡2992-1
される酒蔵をご紹介![/st-minihukidashi][/st-div]
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