2015年11月5日(木)から7日(土)まで開催された第8回「香港インターナショナル・ワイン&スピリッツ・フェア(香港国際美酒展)」は世界32カ国から1,000を超える企業が出展者となり、75の国と地域から20,000名のバイヤーと一般消費者30,000名が集まるアジア最大級の酒類展示商談会となった。主催は香港貿易発展局(HKTDC)。香港は中国本土へワインを輸出する際に経由すると、ワインが非課税になることから中国本土の市場への貿易ハブとなっており、アジア酒類市場でも最重要拠点の一つである。
現地の様子と参加を通して見えてきたアジア市場における日本酒をレポートします。
【会場全体】
この巨大な見本市で、今年もジェトロ率いる日本パビリオンは市場における注目と存在感を示し、高い評価を得た。ジェトロ関係者によると、日本からの酒類への関心は非常に高く、初日だけで前年の3倍の商談が纏まったとし、この見本市がアジア市場開拓における重要な足がかりであるとした。
ジェトロ・ジャパンパビリオンには、日本酒造組合中央会(9蔵)、独自出展蔵3蔵、輸出業者3社、焼酎蔵4蔵、ワイナリー4蔵、ウィスキー1醸造所、岐阜県の酒器が出展。これ以外に香港の地元業者や輸出業者を経由して12蔵程度、酒器1店が出展。多くの来場者は、日本のお酒は美味しい、酒器は素晴らしいと満足していた。
日本酒と焼酎、酒器の素晴らしさは、現場視察をして世界を知り、人と会い、肌で感じると分かることがたくさんある。日本酒・焼酎は、ワインに比べ世界レベルでみると未だマイナーな存在。しかし、成長の伸び代はかなりあることがわかった。ワインは世界各地で醸造されているが、日本酒については、そのほとんどが日本国内で醸されている。日本のお酒ブースに訪れる来場客は美味しいお酒には「Very good!!」「おいしい!」と笑顔で答えてくれた。日本酒・焼酎の試飲に加えて、日本酒造組合中央会では日本酒セミナーを英語でプレゼンテーションすることで日本酒の啓蒙に努めていた。
VVIPワイン・テイスティングでは、シャトー・スミスのバラエティーあふれる香味、表現方法、楽しみ方、ストーリーを取材したが、日本酒文化とワイン文化、酒蔵とシャトー、日本酒とワイン、それぞれのオーナーの感性と説明方法を比べると見えてくるものがある。それぞれの差を知り、戦略を練ってPR・販売すれば、応用力の優れた日本独自の日本酒・焼酎はやり方次第で世界で通用することが分かった。
【酒蔵主催のレセプションで日本酒をPR】
RENAISSANCE HARBOUR VIEW HOTEL HONG KONGで夜に開催された日本酒と中華料理のマリアージュ・イベントでは、栃木県(澤姫/井上清吉商店)、秋田県(太平山/小玉醸造)、富山県(幻の瀧/皇国晴酒造)等の日本酒は酸と甘みのバランスがよく、香港人の舌をうならせた。単独で飲んでよし、中華料理とペアリングをして旨い日本酒が際立っていた。日本人ならではの繊細な酒造りはもちろん、プレゼンターの人柄と料理のペアリング戦略により、日本酒はもっと人気になると感じた。
【香港の日本酒販売事情】
日本清酒文化交流会には渡舟(茨城県、府中誉)、花春(福島県、花春酒造)をはじめ多数の蔵が出展。Ho Leung Chi(ホー・レンチー)さんに聞いたところ、香港人は味がしっかりした酸のバランスの良い日本酒が好きだとのこと。日本人女性に人気のお酒は、香港でも人気なお酒になるように感じた。
【酒器も日本酒ブームに同調!】
今回、もっとも注目を集めた商品は、岐阜県多治見市の美濃焼でも有名な丸モ高木陶器。うぐいす徳利、のぞき盃は、日本酒を香味に加えて、目と耳でも楽しませる。中国女性バイヤーの目には魅力的に映っていたようだ。
【最後に】
今回のフェアで、酒蔵と日本酒のパワーを感じた。来年に向けて更に飛躍するには、若い力、女性の力、現地の力、斬新なクリエイティブ力と推進力、PRと営業の戦略がもっと必要であると感じた。日本酒文化をまるごと輸出するくらいの気持ちが必要かもしれない。
そのためには、リーダーが日本と世界の感性を持つこと、様々な分野の人の力を借りること、同業種と他業種の成功事例から学び応用実践していくこと、変革と志のためにリスクをとって挑戦していくことが望まれる。今後の日本酒・焼酎・ウィスキー・ワイン業界の発展を期待したい。
後日、動画取材ダイジェストをサイトで掲載します。ご期待ください。 掲載告知は、酒蔵プレスのFacebookでおこないます。いいね!を押して頂けると情報がご覧いただけます。
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文・ZOE(ゾーイ)、レポート・JOE