地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第36回目の当記事では、長崎県壱岐市(ながさきけんいきし)の壱岐の蔵酒造(いきのくらしゅぞう)を特集します。
現代の製法は、江戸時代の時代背景に合わせて確立してきた
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
1984年に壱岐島内の2〜300年の歴史ある6蔵が全国に壱岐焼酎を全国に知っていただく為に合併しました。
2010年にさらなる飛躍と壱岐焼酎の発展を願い「壱岐の蔵酒造株式会社」と社名及び組織変更を致しております。
長崎県で2番目の平野を有する壱岐は、太古より穀倉地帯として米や麦などの穀物が豊富で、約500年前に大陸から蒸留技術が伝来し、醸造・蒸留の技術が発展してきました。
江戸時代以前は米焼酎を造っていたと思われますが、お米が年貢の対象となり、材料の全てをお米を使用して仕込むことが困難となりました。
そこで、酒造りで最も重要な麹はお米を使用するものの、それ以外は年貢の対象外である大麦を使用しており、現在の壱岐焼酎の原型がこの時期に確立され、今でもこの製法は守り続けられています。
この歴史文化が認められ、地理的表示の産地指定、GI壱岐を受けています。
―代表銘柄は?
壱岐っ娘、壱岐の島
玄界灘の荒波で獲れた魚介類や島の食材を引き立てる「壱岐っ娘」
―イチオシ商品はなんですか? 地元の食材・料理とはどんな合わせ方がおいしいですか?
「壱岐っ娘」は創業当時からのメインブランドで、壱岐焼酎の伝統的な製法である大麦を2/3の割合で使用し、米麹を1/3の割合で仕込むことにより、麦の爽やかな香りと、米麹由来の旨味甘みが絶妙に調和した、口当たりのやさしい逸品となっています。
ロック・水割り・お湯割りでも美味しくいただけますが、一押しは炭酸割で、玄界灘の荒海で身が引き締まった、新鮮なイカ・ブリ・タイなどのお刺身や、ウニ・サザエ・アワビなどの魚介類に良く合います。
また、地鶏の鶏がらスープに醤油・砂糖で味付けし、野菜・鶏肉・固くてクリーミーな「壱州豆腐」と、「そうめん」を入れて煮込んだ壱岐の郷土料理の鍋を「ひきとおし」と言いますが、「壱岐豆腐」と「そうめん」は、その2つが揃わないと「ひきとおし」と呼べないくらいに相性の良い食材です。
すっきりした飲み口の「壱岐っ娘」は、これらの食材や料理を引き立ててくれ、焼酎もどんどん進みます。
―酒造りで心がけていることは?
創業当時、主流であった「常圧蒸留」に加えて、当時最新の蒸留技術である「減圧蒸留」を取り入れ、日本で初めて花酵母仕込みによる本格焼酎の商品化を行ないました。
令和3年度においては、壱岐島内で初めてジンの製造にも着手し、伝統技術を守りつつ、新しいことに挑戦し続けています。
また、品質向上はもとより、安心安全を第一に製造、出荷を行っており、2019年9月に食品安全マネジメントシステム FSSC22000認証を取得しています。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
壱岐は古事記の国造りにおいて5番目にできた国で、高天原の真下にあり、天と地上をつなぐ島でもあるので、別名「天比登都柱」とも呼ばれています。
壱岐には神社が数多くあり、神社庁には150社が登録されていますが、登録外を含めると1000社あるとも言われており、神々の宿る島として、島全体がパワースポットとなっています。
その中で、小島神社は海の中に鎮座しており、参道は干潮時にしか現れず、満潮時には渡ることができないので、「壱岐のモンサンミシェル」として、女性に人気のパワースポットとなっています。
壱岐のビーチは、遠浅の海に貝殻で出来た白い砂が、エメラルドグリーンとのコントラストを創り出し、私たちの心を癒してくれます。
おすすめのスポットは無人島の「辰の島」で、「大浜」水平線から昇る朝日も最高です。
―最後に、読者へのメッセージをお願いします!
新型コロナウイルスが終息いたしましたら、是非一度壱岐にいらしてください。都会とは違う、ゆっくりとした時間が流れていますので、日頃の疲れを、壱岐の自然・新鮮な魚介類・壱岐牛そして壱岐焼酎で癒して、元気な日本・世界を取り戻しましょう。
今回ご紹介した酒蔵について
【長崎県】
壱岐の蔵酒造株式会社
https://ikinokura.shop-pro.jp/
長崎県壱岐市芦辺町湯岳本村触520
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