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人と人、人と酒との調和が奏でる 「愛」 を心に【大山】加藤嘉八郎酒造株式会社-山形県

地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第42回目の当記事では、山形県鶴岡市(やまがたけんつるおかし)の加藤嘉八郎酒造(かとうかはちろうしゅぞう)を特集します。

江戸時代、 四十数軒の酒蔵が軒を連ねる東北随一の銘醸地

―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。

「豊かな米」、「清らかな水」、「厳しい冬の寒さ」と、酒造りに必要なものが全て揃った山形県庄内地方の大山の地で明治五年に創業しました。

江戸時代、庄内藩(しょうないはん)の中でも大山町は幕府直轄の天領であったため、酒造業が奨励され、最盛期には四十数軒の酒蔵が軒を連ねる東北随一の銘醸地として繁栄しました。

江戸の初期、庄内藩にお預けとなった戦国武将加藤清正(かとうきよまさ)の嫡子・忠弘(ただひろ)の子孫の中から、やがて刀を捨て酒造業を営む者が現れました。

その蔵元からは多くの分家が独立し酒処大山町の酒造業の主流を担うようになりました。その一つが弊社、加藤嘉八郎酒造株式会社です。

代表銘柄は?

代表銘柄は「大山(おおやま)」です。

弊社は大山地区では最後発の蔵元でありますが、初代蔵元の加藤嘉八郎有元は明治五年に創業するにあたり、東北随一の銘醸地、大山地区を代表する酒たらんと志し、酒名を「大山」といたしました。

―イチオシ商品はなんですか? 地元の食材・料理とはどんな合わせ方がおいしいですか?

「大山 特別純米酒 十水」です。

江戸時代に生まれた米と水を同じ割合(容積換算)で仕込む「十水仕込み(とみずしこみ)」で醸したお酒です。

江戸時代、米は体積「升・斗・石(米の一石はおよそ150Kg)」による計量が一般的であり、酒造りの米と水の割合は、「米十石」に「水十石」を使用する「十水仕込み」と称される製法が一般的でした。時代は流れ、現在米の磨きは進み、米の溶け過ぎなどの影響を最小限にする為に、「米十石」に「水十二石」以上の仕様が主流となっております。

弊社ではその原点を俯瞰し、昨今の多くの料理に合うようにと、大山流「十水」を醸成いたしました。

「大山 特別純米酒 十水」は、通常よりも米の割合が二~三割り程多い高濃度仕込みによるジューシーな旨味と酸味が感じられる濃醇な味わいながら、後味は軽快でキレも良くスムーズな印象が特徴です。濃醇でコクがあり、しかも柔らかくキレのある味わいを、冷やでもお燗でも心おきなくお楽しみいただけます。

おかげさまで国内外のコンテストにおいて受賞歴も多数いただいてります。(「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」2017年、2018年最高金賞、「KURA MASTER」2017年金賞、「全米日本酒歓評会」2011年、2013年、2015年、2016年金賞、2020年金賞、「燗酒コンテスト」2014年、2020年最高金賞など。)

濃醇な酒質でありながら、ジューシーな旨味と酸味のバランスが良く、まろやかでなめらかな印象を与える味わいなので、和食の定番料理全般とも合わせることができながら、ボリュームのある脂の乗った食材や味の強い料理にも負けない酒質です。

地元の食材・料理ですと、今の時期は旬のサクラマスの料理や孟宗竹(もうそうちく)を使った孟宗汁、月山タケの丸焼きや天ぷら、タラの芽の天ぷら、山ウドの天ぷらや煮物、コゴミの天ぷらやお浸しなどの山菜料理との相性が抜群です。

また夏にはヤリイカの刺身や茹でただだちゃ豆など、秋には芋煮汁や食用菊の「もってのほか」のお浸しなど、冬には寒鱈汁(どんがらじる)など寒の時期に獲れる寒鱈料理などとの相性が良いです。

日本酒造りには麹菌や酵母菌などの微生物の力を利用します。

発酵タンク「OSタンク」

―酒造りではどんなことを心がけていますか?

良い酒を醸すには、麹菌や酵母菌たちの微妙な息づかい「ため息・といき」を感じ取り、微生物と対話する必要があります。その対話の中から読みとったその時々に最良な環境を微生物たちに与えるために、弊社では麹菌と酵母菌が協力し合って醸し出される「もろみのゆりかご」である発酵タンク「OSタンク」(昭和48年)や、「麹菌のゆりかご」である「KOS」(昭和53年)製麹装置を独自に開発いたしました。

微生物との対話を通じて良酒造りの為のより良い環境を与え、伝統の技を受け継ぎながら日々革新をし続け”人と人、人と酒との調和が奏でる 【愛】 を心に“日々「大山」を醸しております。

鶴岡の風土に息づいた精神文化と結びついた独自の食文化

―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。

【鶴岡の食文化】

鶴岡市は海の幸・山の幸に恵まれた豊かな食文化を有し、先人たちの知恵と情熱によって独自の食文化を今に伝えています。

1400年以上にわたり信仰を集める山岳修験(さんがくしゅげん)の聖地「出羽三山(でわさんざん)」の精進料理や、家庭でも祭りと精神性を分かち合う「行事食・伝統食」を数多く継承されており、鶴岡の風土に息づいた精神文化と結びついた独自の食文化が色濃く残っています。

そして、農家の人々が数百年にわたり「種」を守り継いできた「在来作物」は50種類以上確認されており、その栽培方法とともに継承された作物は、「生きた文化財」として、訪れる人々を魅了しています。

こうした歴史と食文化を背景に、平成26年(2014)12月に「ユネスコ食文化創造都市」に認定されました。

【大山新酒酒蔵まつり】

毎年2月、新酒ができるこの時期に鶴岡市大山を代表する醸造業を広く紹介し、作りたての新酒を多くの方々から味わっていただきと「大山新酒・酒蔵まつり」を平成8年から開催しております。

大山新酒・酒蔵まつり実行委員会は、日本酒の消費拡大を図り、酒づくりのまち大山をPRすることにより地域振興の一助とすることも目的としております。

大山観光協会

【赤川花火大会】

山形県・鶴岡市の赤川河川敷で行われる全国花火競技会です。

2014年には、日本の花火100選でベスト10に入り(Yahoo花火)全国の花火大会で屈指と評価されるまでになりました。

全国トップクラスの花火師が競い合う「全国デザイン花火競技会」では、日本の伝統的な花火の技術を競う割物花火の部(10号2発)と音楽との連動などが審査基準となるデザイン花火の部の2部門に分かれて行われます。「市民花火」と打ち上げ幅700メートルをフルに使う「エンディング花火」は、枡席から見上げてしまうほどの臨場感溢れる距離と、最大打揚げ幅700mのワイド感に圧巻です。

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―最後に、読者へのメッセージをお願いします!

これからも ” 人と人、人と酒との調和が奏でる【愛】を心に“日々「大山」を醸成して参りたいと存じます。

今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。

今回ご紹介の酒蔵について

【山形県】
加藤嘉八郎酒造株式会社
https://www.sake-ohyama.co.jp/
山形県鶴岡市大山三丁目1-38

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  • この記事を書いた人

酒蔵プレス編集部

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