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「 加賀菊酒の伝統を継承する酒蔵 」【菊姫】菊姫‐石川県

地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第174回目の当記事では、石川県白山市(はくさんし)の菊姫(きくひめ)を特集します。

霊峰白山の滴から生まれる加賀の菊酒

―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。

霊峰白山の頂から流れだす雪解け水が、やがて川となり麓の地を潤します。その滴りから醸し出される芳醇な美酒は、古来より「加賀の菊酒」と呼ばれ賞賛されてきました。

「太閤記」には、豊臣秀吉が醍醐の花見に取り寄せたことが記されています。

菊姫は、天正年間(1573-1592)にこの地に創業。以来400年以上、連綿と酒造りを継承してきました。その名の由来は、白山比咩神社の御祭神「菊理媛」からであると伝えられています。

―代表銘柄は?

山廃純米

昭和58年に日本酒業界初となる「山廃仕込」と表示した純米酒として発売しました。酒造りでは酵母を育てる「酒母」という工程があり、「山廃」とは酒母の造り方の一つです。

酵母と乳酸菌が共生しながら育つことで、酸味と濃さのある 剛健な味わいに仕上がります。

濃醇で飲み応えがあり、好き嫌いのはっきり分かれる「男酒」としての個性が光る純米酒です。

お薦めの飲み方:燗酒がお勧めで、香り豊かで後口がスッキリします。肉料理や中華など、油分が多く味の濃い料理によく合います。

―イチオシ商品はなんですか? 

「鶴乃里」

酒質:山廃らしい旨みや力強さと、きめ細かさを兼ね備えた味わいの純米酒です。

IWC2007にて初代チャンピオン・サケを受賞。既存の「山廃純米」とは異なるコンセプトのもと造っています。

お薦めの飲み方:燗酒がお勧めで、香り豊かで後口がスッキリします。金沢おでん、かぶら寿司などの料理によく合います。

山廃仕込みの極み、菊姫の濃醇な旨み。

―酒造りで心がけていることは?

菊姫の酒質を一言で表現するなら「濃醇旨口」。米の旨みを十分に引き出した酒造りをしています。そのため、濃醇な酒質を造り出せる山廃仕込みを主に採用しています。

また、通常商品でも熟成期間を1~2年設けることにより、味のりをさらに良くしています。

使用する原料米は兵庫県三木市吉川町特A地区産の山田錦。山田錦発祥の地であり、比肩する産地は他にありません。「精米を他所に頼むようなら、酒造りを止めろ」という家訓があり、全量自家精米を行っています。

近年、色彩選別機を導入したことにより、より良質な精米が可能になりました。                                        

酒造りの担い手が減っていくことを危惧し、30年以上前より酒造りの専門家を自社にて育成してきました。現在、酒マイスターと呼ばれるこの専門家は9名在籍しておりますが、その多くが杜氏の任をこなすことが出来るレベルまで達しております。

―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。

白山市の鶴来地区では若い世代の起業が増えています。古民家をリノベーションしたスイーツやカフェ、民泊など続々と開業しており、鶴来商工会では会員企業数が1894年の創設以来最多となっています。

古くから白山比咩神社への参拝客で賑わっていましたが、近年は金劔宮も金運神社として注目されています。

―最後に、読者へのメッセージをお願いします!

香りが芳しく、腰が強い濃醇な酒質を造り出せる山廃のような自然の摂理を巧みに利用した酒造りは、先人の知恵と経験の所産です。

こういったソフト面を大切にし、新しい設備・技術を採り入れつつ次世代に継承していきたいと考えています。

今回ご紹介した酒蔵について

【石川県】
菊姫合資会社
石川県白山市鶴来新町タ8番地
https://www.kikuhime.co.jp/

 

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酒蔵プレス編集部

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