sake 奈良県

造り手の思いが飲む人の心に伝わる酒造り【御代菊、白檮、利兵衞】喜多酒造株式会社-奈良県

地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第17回目の当記事では、奈良県橿原市(ならけんかしはらし)の喜多酒造(きたしゅぞう)を特集します。


―酒蔵の歴史について教えて下さい。

  • 1718年(享保3年) 創業
    初代利兵衞(りへい)が大和三山に囲まれた大和國高市郡御坊村(現在の奈良県橿原市御坊町)で創業。
  • 1940年(昭和15年)酒蔵の移築
    現社屋から東に80メートル、近鉄橿原線開線当時、計画線路上にもとの酒蔵があったが、橿原神宮の皇紀2600年祭に際し行われた周辺整備の都市計画事業に沿って、酒蔵を現在地まで曳家で移した。
  • 1959年(昭和34年) 清酒「御代菊」商標登録
  • 1961年(昭和36年) 喜多酒造株式会社設立
  • 1992年(平成4年) 大吟醸「白檮」発売
  • 2006年(平成18年) 純米吟醸「利兵衞(アルコール20度)」発売
  • 2010年(平成20年) 御神酒「かむやまと」の製造開始
    橿原神宮の神饌田で採れたお米を使い、御神酒「かむやまと」の製造を開始した。
  • 2012年(平成24年) 水もと仕込み開始
    おおよそ800年前から明治時代の初めにかけて行われていた酒造りを再現。乳酸菌の働きを巧みに利用した伝統的な製法と醸造に適した菌を持ちいる現代技法が融合した製造方法である。
  • 2017年(平成29年) 蔵元杜氏
    喜多整(現社長)が日本酒造杜氏組合連合会認定杜氏となる。


―代表銘柄は?

代表銘柄である「御代菊(みよきく)」は現在、本醸造酒・水もと仕込純米吟醸酒・水もと仕込純米酒などに使用しています。国内だけでなく、韓国やドイツへの輸出も「MIYOKIKU」の銘柄で行っております。

大吟醸「白檮(はくじゅ)」は古事記に記される初代神武天皇が治めた白檮原宮(かしはらのみや)に由来し、橿原神宮15代・山田正宮司によって命名されました。歴代宮司(現在は久保田昌孝20代宮司)による「白檮」の揮毫(きごう)が続いています。
※揮毫(きごう):毛筆で文字や絵をかくこと

純米吟醸「利兵衞(りへい)」は、純米吟醸でアルコール度数20度という、大変珍しいタイプのお酒です。初志を思い出す意味も込めて、初代「利兵衞」の名を銘柄名としました。

―イチオシ商品はなんですか? 地元の食材・料理とはどんな合わせ方がおいしいですか?

  • 水もと仕込純米酒 御代菊 奈良うるはし
    日本酒発祥の地と言われる奈良県正暦寺で分離された「奈良うるはし酵母」と乳酸菌を使った水もと仕込の純米酒です。使用米は奈良県産ヒノヒカリ(精米歩合:65%)を使っています。
    しっかりとした酸味を感じるふくよかな味わいは、大和肉鶏を使った飛鳥鍋(牛乳鍋)と相性が良く、エスニック料理などの食中酒としても適しています。
酒蔵プレス編集部

酒蔵プレス唎酒師による「水もと仕込純米酒 御代菊 奈良うるはし」テイスティングノート

●香り
アルコール感が鼻の奥まで届き、若々しい松葉のような香りがします。

●味わい
みずみずしさ、軽快なキレ、ふくよかさ、ミネラル感、甘さ、酸味が混ざった濃厚旨口のしっかりとした日本酒です。他の日本酒にはない珍しい独特な酸味が癖になる味わいです。

●ペアリング
ショートケーキとの相性が意外といいと思います。イチゴとクリームの甘さ、酸味が相まって、お互いを打ち消し合った後、深い旨味が広がります。

●総評
「奈良のうるはし酵母」を使用した水酛仕込みの独特の味わいで、豊かな酸味と旨味が歴史と手間と技術を語る深い日本酒です。冷や、常温、燗でそれぞれ全く違った味わいを楽しむことができます。


歴史と喜びを伝える大和の美酒

―酒造りではどんなことを心がけていますか?

創業から続くこだわりの意志を受け継ぎ、300年におよび「美味しいお酒」にこだわり続けています。喜多酒造が考える美味しいお酒とは、造り手の思いが飲む人の心に伝わるお酒。

喜多酒造は創業の心を大切にし、日本酒「御代菊」が歴史と喜びを伝える大和の美酒として愛されることを誇りとしています。

造り手の思いを飲む人に伝えるには技術的なことだけでなく、酒造りに誠実に、謙虚に向き合うことが大切であり、それが「美味しいお酒」を生むことにつながると考えています。
日本のみならず、世界に「美味しいお酒」を届けることが私たちの喜びにもなります。

―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。

万葉集に登場する畝傍山・香久山・耳成山の大和三山に囲まれた大和文化発祥の地である橿原。西は二上、葛城の山あいを縫って河内に通じる大阪への道、東は櫻井・初瀬を経て遠く伊賀、伊勢へ、南は吉野から紀州へと続き、橿原は交通の分岐点としての役割を果たしてきました。

喜多酒造の周辺には、橿原の歴史の深さが感じ取れる多くの観光名所があります。日本建国の始祖である初代神武天皇をお祀りする「橿原神宮」をはじめ、日本史上最初の条坊制を布いた本格的な都城「藤原宮跡」のほか、高松塚古墳や藤ノ木古墳の発掘などで知られる「奈良県立橿原考古学研究所」などもあります。

―最後に、読者へのメッセージをお願いします!

2021年1月より、インスタグラムで、新しい商品の紹介や蔵の様子を発信し、定期的に、蔵見学も行っています。
https://www.instagram.com/miyokiku1718/

今回ご紹介した酒蔵について

【奈良県】
喜多酒造株式会社
http://miyokiku.com/
奈良県橿原市御坊町八番地

その他の酒蔵はこちら!

【キラリと光る、地域で愛される酒蔵の銘酒】全国にある様々な酒蔵の歴史と文化、オススメの商品や地域の観光をご紹介!

地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と日本酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画がスタートしました! 日本には約1,400の酒蔵があり、地域の蔵人たちは日々情熱を注いで酒造りをしています ...

続きを見る

 この記事が気に入ったら、いいね !・シェアしよう
最新記事をお届けします!

  • この記事を書いた人

酒蔵プレス編集部

あなたと酒をつなぐSAKEメディア 「酒蔵PRESS」では、Made in JAPANの日本酒を中心に、和酒(日本酒、焼酎、泡盛、梅酒、リキュール、地ビール、日本ワインなど)に関わる情報を発信しています。

-sake, 奈良県
-, , , , , , , ,

© 2024 酒蔵プレス