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創業江戸享保年間 山寺山形紅花文化テロワール醸造の老舗酒蔵【霞城寿】寿虎屋酒造‐山形県

地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第194回目の当記事では、山形県山形市の寿虎屋酒造(ことぶきとらや)を特集します。

ジブリ映画の舞台、心温まる300年の歴史

―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。

江戸享保年間1715年から創業、東北唯一の譜代大名城である山形城の御用酒屋として門前東旧三の丸内に位置する七日町で酒造り一筋300有余年の老舗酒蔵。(安土桃山時代頃から酒蔵は存在していた様だが、明治44年5月8日山形歴史史上に残る市北の大火に巻き込まれてから江戸享保年間としている経緯がある)

平成元年、市政100周年記念市立病院拡張事業協力依頼を受け、酒蔵の土地を市に提供。市内東西南北各地をボーリングし探しあてた天然軟水の地、中里・高瀬地区に酒蔵を移転。自社井戸から汲みあげる蔵王山系伏流水は酒造りに適した天然軟水で、酒造りの全てに使われ寿虎屋酒造の酒質を決定づけています。水の旨さは酒の旨さに、今も変わらずこだわりを受け継ぐ酒造りは、ジブリ映画『おもひでぽろぽろ』の舞台、日本遺産認定紅花畑が目の前に広がる文化的大自然をテロワールとしています。

2016年には山形の名は日本酒の世界で特別なものになりました。一致団結して地理的表示GI山形を取得。日本酒の分野では県単位で初めての取得となりました。直近ではCO₂などの温室効果ガスの排出量削減のために、脱炭素社会づくりに貢献する取り組みが認められ、山形県環境優良事業者に登録されています。

―代表銘柄は?

「霞城寿」 シリーズ

「めでたいときにめでたいお酒」寿は当蔵が長い歴史を通じて酒造りの基本にしてきた大切な言葉です。
山形城の通称「霞が城」とおめでたい「寿」を合わせた銘柄。良質な米を軟水の蔵王山系伏流水(蔵王の雪解け水)で仕込んだ日本酒です。創業300年を誇る伝統の酒造りと近代酒造技術を駆使して醸し出される至福の一滴を堪能できます。

山形セレクション認定酒『純米吟醸 霞城寿』

山形県開発酒造好適米「出羽の里」を55%まで磨き、山形酵母と自然の力みなぎる天然水「蔵王の雪解け水」で丁寧に醸し出した純米吟醸酒が「純米吟醸 霞城寿」です。伝統の酒造りと近代酒造技術を駆使して醸される酒は、香り・味ともにバランスがよく、コクがあります。酒米、酵母、仕込み水ともに酒どころ山形のテロワールを存分に活かした酒で、県内の秀でた日本酒を表する「地理的表示GI山形」と「ヤマガタセレクション」の認定酒でもあります。

また、直近では全国燗酒コンテスト 2023プレミアム燗酒部門 金賞受賞、日本国外で最も歴史の長い日本酒の品評会「全米日本酒歓評会」では4年連続金賞を受賞するほど、世界的に高く評価されている純米吟醸酒です。

お薦めの飲み方:熱燗~常温~雪冷(-5)

「無濾過槽前原酒 三百年の掟やぶり」シリーズ

搾りたてに一切手を加えていない無濾過原酒シリーズ。本醸造・純米・純米吟醸・純米大吟醸の4種類がございます。

「火入れ殺菌してから出荷」という創業以来300年守られてきた掟を破ってでも、ありのままの酒を飲んでいただきたい。そんな蔵元の思いから生まれた限定シリーズです。麹のコクと旨味、そして微発泡感が圧倒的なインパクトを与える酒です。全種類数量限定商品です。

お薦めの飲み方:全種類雪冷え(5℃)

―イチオシ商品はなんですか? 

霞城寿 純米大吟醸 雪女神(かじょうことぶき じゅんまいだいぎんじょう ゆきめがみ)」

「霞城寿」は、山形城の通称「霞が城」とおめでたい「寿」を合わせた名。良質な米を軟水の蔵王山系伏流水(蔵王の雪解け水)で仕込んだ日本酒です。創業300有余年を誇る伝統の酒造りと近代酒造技術を駆使して醸し出される至福の一滴を堪能できます。

霞城寿ブランドの中で最上級の日本酒が「霞城寿 純米大吟醸 雪女神」です。山形県産最高峰酒米「雪女神」を40%まで磨き上げ、山形酵母と自然の力みなぎる「蔵王の雪解け水」蔵王山系伏流水天然軟水で丁寧に醸し出した高貴な純米大吟醸酒です。

口に含むと上品で繊細な吟醸香が感じられ、柔らかく透明感があり、高品位で繊細な味わいが堪能できます。

お薦めの飲み方:常温~雪冷(-5℃)ワイングラスで。

お薦めの地元料理:山形牛のステーキやすき焼き、芋煮会などの牛肉料理、お寿司、ナチュラルチーズ、卵料理ともよく合います。食材の味わいを上手に引き立て、和、洋、中、どんなお料理にもよく合うように造っています。

心に響く「和醸良酒」

―酒造りで心がけていることは?

山形紅花文化テロワールと蔵人の感性を融合させた、心にやさしく響く酒造り。
「和醸良酒」酒造りに携わる人の和の精神によって良酒が生まれ、その良酒によって、造り手、売り手、飲み手のすべての人に和がもたらされるという解釈に当蔵では微生物との和も加えています。常に微生物と対話し、いかに微生物に対して愛情をかける事が出来るかを手造りの基本と考えて、日々の酒造りに邁進、山形県産の良質な酒米や山形酵母を用い、地元に根差した酒造りを心がけています。

この地域の地下水は昔から「延命水」と呼ばれ地元で親しまれてきました。自社井戸から汲み上げる蔵王山系伏流水天然軟水「延命水」は唯一無二の口当たりのいいまろやかな日本酒を醸し出してくれます。モットーは酒造りの工程でおこる全てに気を配ること。洗米、蒸米、麹、酒母、醪、一つ一つ全ての作業が重要だと考えています。

当蔵では酒母にこだわり、主に「吟醸酒」及び「純米酒」は全国でも珍しい醸造技術(唯一)、かけ米を一切使用せず全て麹米を使用する「全麹使用速醸酒母仕込み」で醸造しています。出来上がった酒は生酛系山廃仕込みで醸した酒と非常に似ており、特に優れている点は清酒醸造初段階で酸が高いのに比べ、酒の出来上がった時点では通常の仕込みで醸した酒の酸度よりも低く、飲み口も端麗辛口でスッキリとしております。吟醸酒は香りが優れ、又、純米酒はお燗にしても味が壊れず、バランスのいい酒に仕上がっています。

―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。

名刹山寺立石寺、山形城、文翔館、紅花まつり、花笠まつり、蔵王の温泉・樹氷、山形秋の郷土料理「芋煮」がオススメポイント。盛り上がりで言えば、毎年9月に山形市の馬見ヶ崎川河川敷で開催される「日本一の芋煮会フェスティバル」は、6mを超える大鍋に、重機を使って調理するなど、まさに美味しさもスケールも日本一の芋煮会です。ギネス記録を持つ「日本一の芋煮会フェスティバル」を盛り上げるべく、当蔵でも第1回目から味付けに使う日本酒を寄贈し続けております。

又、蔵王樹氷は山形市の冬の象徴です。アイスモンスターが冬季に見られるのは、世界中探してもわずか5か所、東北地方一部の山岳地帯のみです。その中で山形蔵王は最大エリアを誇っています。この蔵王連峰に降り積もった雪や樹氷が長い年月をかけて浸透・濾過を繰り返し、清冽な地下水となり、当蔵井戸に水脈となって流れ着いています。蔵王山系伏流水は酒造りに適した天然軟水で、すべてのお酒の仕込みに使われ、寿虎屋酒造の酒質を決定づけています。

酒蔵のある山形市の中里・高瀬地区は、"東に蔵王山脈、西には秀峰月山"を遠望でき、山寺や山形紅花文化の象徴とされており、日本遺産認定や日本農業遺産認定を受けています。また、山形県内で唯一の華道家元池坊花逍遥100選認定の紅花畑もあり、ジブリ映画「おもひでぽろぽろ」の舞台としても知られています。弊社の酒造りは多くの認定を有するテロワール醸造であることから、是非、酒蔵周辺の自然もオススメです。

―最後に、読者へのメッセージをお願いします!

長らく山形市で日本酒醸造をさせて頂ける事に日々感謝し過ごしております。
寿虎屋が醸し出す山形紅花文化テロワール醸造日本酒には三百有余年の歴史が築き上げてきた蔵人の心と研ぎ澄まされた技、その全てが生きています。

三百回以上積み重ねてきた毎年ごとの技術研鑽には妥協を許さず、酒質の追及を続けていますが、お陰様で国内外のコンクールで毎年多数受賞するまでとなっています。
当蔵の酒造技術は全国新酒鑑評会金賞・東北清酒鑑評会優等賞と「大吟醸寿久蔵」がダブル受賞した2021年には全国新酒鑑評会金賞受賞蔵上位3%の評価も頂いております。全国新酒鑑評会金賞受賞率日本一の東北地区で更にその中から優秀な酒に選ばれる事はとても高い壁と言われている中、東北清酒鑑評会優等賞は通算30回以上、県内では最多の受賞となっています。

「GI山形」を確立させた研究・技術者集団「山形県研醸会」のきき酒会(市販純米酒~純米大吟醸酒を銘柄ブラインドで)では「霞城寿 純米吟醸 出羽燦々」が第1位に選出。
純米酒大賞2017純米吟醸酒の部最高金賞受賞酒が仲間内からも最高評価を受けました。直近では「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2023プレミアム純米部門 最高金賞受賞」するなど、酒質は確実に向上を続けています。

当蔵は地道な歩みが地味であるが故、あまり知られていないのかもしれません。しかし、今回「キラリと光る、地域で愛される酒蔵の銘酒」の取材ということで、目をかけて下さる方がいらっしゃる事に感激しています。これを機会に寿虎屋酒造の日本酒を多くの方に知っていただけましたら幸いに存じます。貴重な機会をどうもありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願い致します。

今回ご紹介した酒蔵について

【山形県】
寿虎屋酒造株式会社
山形市大字中里字北田93-1
https://kotobukitoraya.co.jp/

 

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酒蔵プレス編集部

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