地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。今回は、新潟県上越市大潟区の小山酒造店を特集します。
独自のノウハウで切り開く

―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
当時から変わらぬ伝統的な日本酒造りを続けていた「小山酒造店」は後継者不在から一時廃業を決めていました。そこにかねてより日本酒製造に関心のあった発酵技術を生業とする「株式会社バイオテックジャパン」が事業継承に名乗り出ました。
得意とする植物性乳酸菌の発酵技術を用い、米のたんぱく質を取り除く独自のノウハウを生かした製法で米をほとんど磨くことなく、雑味のないすっきりとした味わいの日本酒造りに挑戦。これからも今までになかった新しい日本酒造りに取り組んで行きます。
―代表銘柄は?

「 純米 醸し香 翠」
アルコール度数:14%
原料米:五百万石90%
お薦めの飲み方:冷や
おすすめのペアリング:味の濃い料理(肉料理や魚料理)

「 吟醸 醸し香 藍」
お薦めの飲み方:冷や
おすすめのペアリング:刺身やマリネ等
事業継承後も手造りはそのままに

―酒造りで心がけていることは?
日本酒造りにとってお米に含まれるたんぱく質は雑味の要因になることから、精米によってたんぱく質の多いお米の表層を磨き落とすことで雑味のないクリアですっきりとした味わいを実現しています。
一方、「醸し香」はお米のたんぱく質を精米で除去するのではなく発酵によって除去する独自製法を採用しており、大切なお米を精米で無駄にせず酒造りを行うことでお米の甘み・旨味を活かしつつ、雑味のない味わいを実現できるのではないかと期待を込めて挑戦を続けています。
新ブランド「醸し香」でも代々受け継がれている道具と丁寧な手作りの酒造りは変わらず、いつも食卓に並ぶようなどんな料理にも合うお酒を目指しています。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
蔵への最寄り駅は信越本線の土底浜(どそこはま)駅。無人駅に降り立つと風に潮の匂いが。ここから国道8号を渡って海へ向かうと、松林に囲まれて小山酒造店がございます。新潟県でも数少ない海岸線に近い酒蔵です。
松林の向こうはすぐに日本海で、近くには鵜の浜温泉があり、目の前は海水浴場。ナトリウム-塩化物泉で、旅館・ホテルほか日帰り温泉施設もあります。
今回ご紹介した酒蔵について
【新潟県】
株式会社小山酒造店
新潟県上越市大潟区土底浜3627
https://www.instagram.com/koyama_shuzou/