地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第254回目の当記事では、岡山県浅口市(あさくちし)の丸本酒造(まるもとしゅぞう)を特集します。
自然と向き合うお酒造り
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
創業は慶応3年(1867年)、蔵の背後には東アジア最大の反射望遠鏡(口径3.8m)を装備した「竹林寺山天文台」があり、「竹林」の名前はこの山の名前より頂きました。
日本でもっとも星が綺麗に見える天文のまち岡山県浅口の地で、自然と向き合いお米から作る酒造りを行っています。
平成15年には当蔵は岡山県下の酒造初の国の「登録有形文化財」に指定されました。文化財指定された蔵の中では、現在も酒造りが行われています。
―代表銘柄は?
「竹林 ふかまり」
香木のような落ち着いた香りがあり、辛口の味わいの奥に、深くなめらかな甘さも僅かに感じます。
玄米を口にするような味の充足感。噛めば噛むほど、飲めば飲むほど、うまみが口中に広がります。
お薦めの飲み方:常温~熱燗
―イチオシ商品はなんですか?
「竹林 Earth Science Bio」
一般には流通しない稀少なオーガニック山田錦を100%使用したオーガニック純米吟醸酒です。
蔵元自ら原料米を全量自社栽培・自社精米しています。洋梨のような爽やかな香りに複雑な旨みが幾重にも絡まりながらも、すっきりとした後味が特徴。自然な味わいは、軽く冷やして食中酒としても最適です。
お薦めの地元料理:魚介のマリネ、だし巻き卵、地元浅口市寄島町産焼き牡蠣など。
飲み手まで繋がる命の連鎖
―酒造りで心がけていることは?
お酒の味を突き詰めると必ず素材の味にたどり着きますが、一般に流通するお米では、栽培状況や内容成分などを知ることは出来ません。
その原料米を自ら栽培する事により、土と米と酒質の関係を理解する事ができ、酒造りについて一貫した考えと、飲み手まで繋がる命の連鎖を感じる事が出来ます。
地域の自然と向き合い、自分の蔵の酒造りの現場にあった酒米を栽培して最高品質の日本酒を目指すのが当蔵の理念です。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
当蔵の近くには日本最大級の望遠鏡を備えた国立天文台や、東アジア最大の口径3.8mの望遠鏡“せいめい”を備えた京都大学岡山天文台があります。
令和6年のNHK大河ドラマや映画で話題の安倍晴明(平安時代の陰陽師・天文博士)は、この天文台近くの阿部山でも観測したと伝えられています。
阿部山の山頂付近には、晴明がかつて居を構えたとされる阿部神社があり、周辺にはその他にも晴明ゆかりの伝説地が多く残っています。
―最後に、読者へのメッセージをお願いします!
慶応3年の創業以来、土地の自然と共に絶えることなくお酒を造り続けてまいりました。原料の米の質にこだわり、原料米の全量自社栽培をめざしています。
近年は米の有機栽培(オーガニック)にも注力し、有機JASをはじめオーガニックの世界三大認証を取得しました。
私たちは飲んで頂く方の健康を願い、最高に美味しいお酒をお届けしたい一心で今日も酒造りを行っています。皆さまとの出会いを心待ちにしております!
今回ご紹介した酒蔵について
【岡山県】
丸本酒造株式会社
岡山県浅口市鴨方町本庄2485