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「1人で」から「2人で」に。人に寄り添いともに楽しむお酒を繋いでいく【千瓢、千瓢 奏、めぐる】水谷酒造-愛知県

地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第110回目の当記事では、愛知県愛西市(あいちけんあいさいし)の水谷酒造(みずたにしゅぞう)株式会社を特集します。

創業当時の江戸・大正・昭和に建てた蔵を全て現役で稼働

―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。

江戸時代末期に愛知県西部で治水事業を務めた水谷治ェ衛門が創業し、180年あまりの歴史があります。

創業当時の江戸・大正・昭和に建てた蔵を全て現役で稼働させており、時代の変遷を感じられる蔵構えです。

木曽、長良、揖斐の木曽三川の清流からの豊かで良質な伏流水、濃尾平野で穫れる良質な原料米、そして冬には“伊吹おろし”と呼ばれる山からの風が吹き降りるためによく冷えることなど、酒造りに適した条件が揃っています。

ごく最近まで、社員としては五代目蔵元・水谷政夫一人と蔵を支えてくれる人々の協力で続いていた小さな酒蔵です。

―代表銘柄は?

当蔵の代表銘柄「千瓢」というブランドは、戦国時代に日本統一を果たした郷土の英雄「豊臣秀吉」の馬印が千成瓢箪だったことに由来しています。

馬印というのは、戦いのときに長い柄の先に掲げる軍旗の一種で、旗とは違う形をした、武将を代表する目印です。

秀吉は手柄を上げる度に瓢箪を一つずつ増やしていき、千にも及ぶほど多くの功績を上げたので千成瓢箪といいます。

―イチオシ商品はなんですか? 地元の食材・料理とはどんな合わせ方がおいしいですか?

  • 「千瓢 純米大吟醸 雫取り」
    例年ごく少量のみの生産でしたが、当時はまだ入社前だった新入社員・後藤が現場を学びたいと酒造りに参加し、人手が増えたことから全量雫取りで造ることになりました。
    派手な酒質ではありませんが、様々な方に日本酒の美味しさを感じて頂けると考えている自信のお酒です。

    主張し過ぎない品のある香り・繊細な甘さで綺麗にまとまった上品な味わい、よく冷やして、口のすぼまったグラスをお持ちならそちらで飲むと繊細な風味を一層感じて頂けます。
    あえて常温で飲むのが好きという方もいらっしゃいます。

酒造りは毎年1年生

―酒造りではどんなことを心がけていますか?

先代杜氏からよく言われていた「酒造りは毎年1年生」という意識でずっと酒造りに臨んでいます。酒造りは米の出来や気候、造るお酒の数だけあるもろみの様子など変動する条件が多々あります。

当蔵は温度管理のできるタンク等といった新しい機械設備はありませんが、米やもろみの様子をよく見て、初心を忘れずに丁寧に造ることで、目指すお酒ができるように最善を尽くして向き合っています。

―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。

愛知は発酵文化が盛んな土地で、酒蔵も40軒以上、味噌蔵やみりん蔵なども多くあります。

愛知の料理は味が濃いとよく言われますが、地元の発酵食品を生かした旨味やコクの深い料理が多いです。

当蔵の酒質は口の中をすっきりさせておつまみや料理が進みやすくなるような料理を邪魔せず引き立てるタイプですし、同じ愛知でも他にもいろいろなタイプのお酒があります。

ぜひ愛知にいらした際には、こういった料理と地酒の食べ合わせを楽しんでいただけたらと思います。

―最後に、読者へのメッセージをお願いします!

当蔵は小さな酒蔵で製造量も多くありませんが、当蔵だからこそできることを模索し取り組んできました。これまでも米作りや日本酒造りを体験していただくイベントや、蔵でのオーケストラ演奏会などを開催し、世の中が落ち着いたら、またそういった場を作りたいと思っています。

皆さまに知っていただく機会を増やしたいと最近はSNS発信にも力を入れています。まだまだ至らないところも多くありますが、当蔵のお酒に出会う機会があったら、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。

平成10年から社員1名で経営してきた小さな蔵ですが、昨年4月より、新卒で酒造業界に飛び込んでくれた新入社員ができました。年は30歳以上離れていますが、日本酒に対する想いは共通しています。今は社員2人と、蔵を支えてくれる方々とで、今までできなかったことにもどんどん挑戦中です。

私たちはお酒を通して楽しい空間をつくりたい、皆さまと一緒に楽しみたいと考えています。派手さはなくても、飲み飽きせずずっと朗らかな気持ちで飲んでいられるお酒を造り、皆さまと酌み交わしたい、それぞれのほっとするひと時に寄り添えるお酒でありたいと望んでいます。

こんな蔵もあるんだと興味を持っていただけたら、ぜひ応援いただけると嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします!

★HPリニューアル・SNSも始めました!
HP: https://www.mizutanishuzou.jp/
twitter:https://twitter.com/Senpyo1129
Facebook:https://www.facebook.com/mizutanishuzo

今回ご紹介した酒蔵について

【愛知県】
水谷酒造株式会社
https://www.mizutanishuzou.jp/
愛知県愛西市鷹場町久田山12

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  • この記事を書いた人

酒蔵プレス編集部

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