地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第178回目の当記事では、新潟県中魚沼郡津南町(なかうおぬまぐんつなんまち)の苗場酒造(なえばしゅぞう)を特集します。
豪雪の地から生まれる、心温まる地酒
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
苗場酒造は、新潟県中魚沼郡津南町にて1907年に創業し、魚沼地方で長きに渡り愛されてきた地酒蔵です。 津南町は4mを超える積雪を記録する、日本有数の豪雪地帯です。
厳しく豊かな自然により、名水百選の「龍ヶ窪」や百名山の名峰「苗場山」の雪解け水など、酒造りの基礎となる素晴らしい「水」「米」が育まれています。
伝統の技術を誇る越後杜氏の技術を受け継ぎ、今でも手作業にこだわった日本酒造りを行っております。
―代表銘柄は?
「醸す森」
特徴は、「一段仕込」「袋搾り」「無濾過生原酒」であることです。
一段仕込は、一度に少量しか造ることができず、通常の日本酒と比べると、約3倍のお米が必要となる贅沢な造り方。また、材料を一気に入れて仕込むため、味の調整がとても難しいことも特徴のひとつです。
しかし、糖がアルコールに分解される途中の非常に若い段階で搾るため、14度程の低アルコールで、初期に出る芳醇な吟醸香とお米の甘味を残したまま、フレッシュで豊潤なお酒になります。
この1段仕込みによって生まれる甘みと酸味、そして吟醸香が「醸す森」独特のフルーティーな味わいを生み出します。
そして上槽は、時間と手間をかけても雑味を最小限に抑えて濃厚なお酒にするための「袋搾り」。また、濃いお米の甘みと旨味をあえてそのままにするために、火入れも割り水もしない無濾過生原酒で出荷しています。
お薦めの飲み方:冷や
―イチオシ商品はなんですか?
醸す森 純米大吟醸 生酒
巨峰やパイナップルのような甘い香りと、ヨーグルトのような酸がキュッときいています。
お薦めの飲み方&料理:
ハンバーグやブルーチーズ、ティラミスとの相性がいいです。おちょこで飲むとより甘く感じられ、ワイングラスで飲むとフルーティーな香りと輝きのある甘味を楽しめます。氷を入れる・炭酸で割っても美味しくお召し上がり頂けます。
小さな酒蔵の大いなる魅力
―酒造りで心がけていることは?
「醸す森」の製造責任者である武田は1995年生まれ。若さゆえの素直さ・ひたむきさで、まっすぐに理想の味わいを目指しています。
小さい酒蔵だからこそできる小回りと気心の知れた蔵人たちとの知恵の出し合いで、「乾杯酒として飲んでいただき、でも最後にもう一度飲みたくなる」そんなお酒を目指しています。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
津南町では、グリーシーズンとスノーシーズンで違った魅力がお楽しみいただけます。
- グリーンシーズン
津南ひまわり広場:広大な畑の中に約50万本のひまわりが咲き誇る、津南町の夏の風物詩です。
龍ヶ窪の池:大量の地下水に寄って形成されている池で、毎分30トンの水が湧き出ています。環境庁の「全国名水100選」に選出されています。
- スノーシーズン
つなん雪まつり:2,000個ほどのスカイランタンが雪の降る夜空一面に打ち上げられる、幻想的なイベントです。
―最後に、読者へのメッセージをお願いします!
日本酒の本質的な良さを表現するにはどうしたらいいのか。どうしたら日本酒が苦手な方や若い方にも手に取ってもらえるようになるのか。
考え抜いて造りあげたブランドが「醸す森」です。
「醸す森」で日本酒の魅力に気づく方が増えて、ひいては日本酒業界そのものを盛り上げていけたらと思っておりますので、ぜひ飲んでみてください。
今回ご紹介した酒蔵について
【新潟県】
苗場酒造株式会社
新潟県中魚沼郡津南町下船渡丁戊555
https://www.naebasan.com/
地域で愛される酒蔵をご紹介!
-
【キラリと光る、地域で愛される酒蔵の銘酒】全国にある様々な酒蔵の歴史と文化、オススメの商品や地域の観光をご紹介!
地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と日本酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画がスタートしました! 日本には約1,400の酒蔵があり、地域の蔵人たちは日々情熱を注いで酒造りをしています ...
続きを見る