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生酛・山廃造りによるコクと深みのある味わいを探求する酒蔵【杉錦】杉井酒造-静岡県

地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第101回目の当記事では、静岡県藤枝市(しずおかけんふじえだし)の杉井酒造(すぎいしゅぞう)を特集します。

戦中戦後もしっかりとした味わいの酒で地元の信用を築く

―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。

酒蔵のある静岡県志太平野は静岡県中部に位置しは南アルプスを源流とする大井川の扇状地で豊かで良質な水と米に恵まれ、昔から酒蔵の多い地域でした。藤枝は東海道の宿場町として発展してきており、志太平野には現在も良質な清酒を醸造する酒六社が点在しています。

杉井酒造は江戸末期天保年間の創業です。戦中戦後の金魚酒といわれた薄い酒が出回った時代もしっかりとした味わいの酒を出荷する事で地元の信用を築きました。

また22年前から一度は廃止した生酛・山廃造りの酒を復活させました。

―代表銘柄は?

江戸時代末期の創業以来酒王銘柄は、亀川・杉正宗などを名乗り、昭和初期から現在の「杉錦」となりました。

辛口で食事に合わせやすい酒質

―イチオシ商品はなんですか? 地元の食材・料理とはどんな合わせ方がおいしいですか?

「山廃純米 玉栄」「山廃純米 天保十三年」「生もと特別純米」「生酛純米八十八」などが弊社の代表銘柄です。

いずれも現在の日本酒マ―ケットで主流の淡麗・飲みやすい・すっきり・吟醸香といったキ―ワ―ドではなく熟成・複雑さ・コク・酸味など、生もと・山廃造りの特徴を生かした辛口で食事に合わせやすい酒質を心がけています。冷やして飲むよりも常温あるいは燗酒がお勧めです。

―酒造りで心がけていることは?

酒のモロミの中で進む醗酵は、作り手が設計した条件のもとで進むのですが、最終出来上がる酒の味わいは、原料、様々な微生物の活動、熟成期間の科学反応などにより自然に出来上がるものです。

よって作り手はその自然の力に沿って、それを上手く生かした味わいが実現できるように条件を設定する事が大事だと思います。

―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。

志太地区の「若竹女なかせ」「志太泉」「杉錦」「初亀」「磯自慢」の6蔵共催で例年5月に静岡で500人規模のパ―ティを開催しています。コロナで2年連続中止となっていますが再開時にはぜひお越しください。

―最後に、読者へのメッセージをお願いします!

現代の日本酒マ―ケットは飲みやすい・クセがない・フル―ティ・淡麗といった言葉で表現される酒質のものが良いという事になっていますが、それらは日本酒の味わいの一部分で、日本酒にはもっと複雑で奥の深い味わいが表現できます。

飲みやすい酒質から日本酒の世界に入って頂いて、そこだけに留まらず、より深い味わいの日本酒の世界に進んで頂きたいと思います。

今回ご紹介した酒蔵について

【静岡県】
杉井酒造
http://suginishiki.com/
静岡県藤枝市小石川町4丁目6-4

 

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酒蔵プレス編集部

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