地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第136回目の当記事では、兵庫県西宮市(にしのみやし)の辰馬本家酒造(たつうまほんけ)を特集します。
「品質第一」を追求している酒造り
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
兵庫県西宮の地で、宮水、良質の米、六甲おろしといった自然の恵み豊かな風土に支えられ、1662年(寛文2年)の創業以来360年にわたって酒を造り続けてまいりました。
戦争や震災により多くの蔵を失いましたが、1993年に完成した「六光蔵」では、丹波杜氏が積み重ねてきた技術を未来へ活かす酒造りが行われています。
できたお酒は2010年に完成したクリーンルーム(清浄度クラス7)を備える製品工場「白鹿館」で瓶詰めされ「品質第一」を追求しています。
―代表銘柄は?
代表銘柄は「白鹿・黒松白鹿」です。
「白鹿」の名前は、唐の時代、玄宗皇帝の宮中に千年生きた白鹿が現れ、皇帝が歓び白鹿を愛養したという縁起のよい故事にならい名付けられました。
1920年(大正9年)に、名杜氏・梅田多三郎が新醸造に成功して誕生したお酒「黒松白鹿」は、常に緑をたたえ長寿の縁起物とされる常盤木「黒松」を、辰馬本家酒造を象徴する「白鹿」に冠し、高級酒の傑作として今もなお愛され続ける銘酒です。
―イチオシ商品はなんですか? 地元の食材・料理とはどんな合わせ方がおいしいですか?
- 黒松白鹿 山田錦 辛口 純米 シルク
お酒造りに適した酒米のなかでも最高級と言われる兵庫県産米山田錦を100%使用し、米の旨みを生かした、シルクのようにきめ細やかな味わいとスムーズな切れ味の特別純米酒です。
兵庫県名産の明石鯛を皮目パリッと中をふわっと焼き上げた、シンプルな塩焼きと合わせていただくと、魚本来の旨みと山田錦の旨みが相互に引き立て合います。
「酒は造るものではなく育てるもの」を信念に
―酒造りで心がけていることは?
酒造りの主役は自然の恵みと微生物です。白鹿は麹や酵母のたくましい成長を見守り育てていく「酒は造るものではなく育てるもの」を信念に酒造りの各工程を丁寧に管理しています。
2019年に国際的な食品安全マネジメントシステムFSSC22000認証を取得しました。白鹿はこれからも長年受け継いできた丹波杜氏の技と最新のテクノロジーを一体化させ、より安全に未来につなげる酒造りを行います。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
「白鹿クラシックス」
酒蔵直営ならではのお酒や食品、酒器などを取り揃えるショップと、『花と和食と日本酒と。』をコンセプトに、四季折々の料理や花が織りなす季節の移ろいとお食事をお楽しみいただけるレストランが、ちょっとした贅沢なシーンを演出します。
「酒ミュージアム」 1982(昭和57)年、「生活文化遺産である酒造りの歴史を後世に正しく伝える」ことを目的に設立された、日本にただひとつの「日本酒」と「さくら」の博物館です。
―最後に、読者へのメッセージをお願いします!
西宮の地で360年の間酒造業を営む白鹿は、地域生活にしっかりと根をおろした生活創造企業体として、次代の生活をより豊かなものにしたいと考えています。
白鹿の酒造りの本質を守りながらも新しい技術を取り入れ、これから未来に続く酒造りのため、さらなる新しい変化を重ね、人を育てる教育事業や地域文化を支える社会貢献にも尽力し、今後も地域とともに歩んで行きます。
今回ご紹介した酒蔵について
【兵庫県】
辰馬本家酒造株式会社
https://www.hakushika.co.jp/
兵庫県西宮市建石町2番10号
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