地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第206回目の当記事では、兵庫県姫路市(ひめじし)の壺坂酒造(つぼさかしゅぞう)を特集します。
辨慶酒米の蘇り、400年から続く醸造
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
壺坂酒造は1629年より姫路市香寺町にて酒造りを始め、1805年現在の地姫路市夢前町に移転しました。当時の弊社6代目当主「善造」が建設した酒蔵は、現在も弊社の発酵環境の源となる宝であり、2008年に姫路市の都市景観重要建築物に指定されました。
近年では、約100年前にこの地域で栽培されていた酒米「辨慶」の復活や、蔵から採取した天然酵母仕込、200名以上のファンが自宅で作った酒米で醸す取り組みなどを行っています。
―代表銘柄は?
「大吟醸 雪彦山」
厳選した兵庫県産山田錦を使用した辛口の大吟醸酒。お米を6割も削り低温発酵させ香り高いお酒に仕上げました。
お薦めの飲み方:冷酒
「純米吟醸雪彦山 無ろ過原酒」
米は有機肥料を使い減農薬で作られた兵庫県産山田錦を全量使用しており、花や果物の香りを出すことに特化しました。
その華やかな香りが消えないように無濾過で製品化しています。
お薦めの飲み方:冷酒
―イチオシ商品はなんですか?
「山廃純米雪彦山 呼應100年」
全国燗酒コンテスト2021、2022プレミアム燗酒部門金賞受賞
リモート酒造りにご参加頂いた286名と農家の思いの詰まった「辨慶」を100%使用し、酵母は自社蔵採取酵母を使用。昭和3年の帳簿をお手本に仕上げた甘口の山廃純米です。
先代の残した資料を基に現代の技術を駆使し、まさに100年前と呼応しながら醸したお酒です。
お薦め飲み方&地元料理:猪鍋に合わせて熱々の燗酒でお召し上がりいただくと、猪肉の旨味が際立ちます。
酵母の声に耳を傾け、美味しさを育む
―酒造りで心がけていることは?
日本酒は人の手で醸すことが出来ません。酵母の声を聴きながら環境を整え、健全な発酵をサポートすることに力を注いでいます。麹は、酵母の食事です。
より美味しい食事を提供できるように日々改良を重ねています。発酵タンクは、酵母の家です。快適に過ごせるように、時にはぐうたらに過ごさないように温度管理を行います。
米作りに関わった人、酒造りに関わった人、夢前町の山里の風景が浮かんでくるような日本酒を目指しています。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
姫路市といえば、「姫路城」が有名ですが、弊社は姫路の奥座敷と呼ばれる山間の夢前町に位置します。風景は一変して山と田んぼの風景が広がります。
2014年より「播磨日本酒プロジェクト」を立ち上げ、幻の酒米と呼ばれる「愛山」の米作りや酒造り、出来上がった酒での宴等を行ってまいりました。
2018年よりほぼ絶滅していた昭和初期のエース米「辨慶」の復活栽培を始めました。2020年よりコロナ禍で人が集う体験が難しくなったのを逆手にとり、それぞれの自宅で酒米を栽培して頂く「#リモート酒造り」をスタートしました。SNSなどを通じて募集した本プロジェクトは、2022年度は286名に上りました。
酒米の収穫までたどり着かれた方は半数ほどですが、そのお米を使って酒造りをしています。 リアルイベントとSNSでアドバイスを受けながら自宅で育てる半リアルイベントを融合させた試みは、私の知る限り唯一無二のプロジェクトです。
―最後に、読者へのメッセージをお願いします!
壺坂酒造は、県内出荷90%以上の超低認知度の酒蔵です。はじめてお知りになる読者が大半だと思います。
色々な取り組みはSNSを通じて発信しておりますので、是非ご覧ください。
今回ご紹介した酒蔵について
【兵庫県】
壺坂酒造株式会社
兵庫県姫路市夢前町前之庄1418-1
公式サイト:
https://seppiko.shop-pro.jp/
Instagram:
https://www.instagram.com/tsubosaka1805
Facebook:
https://www.facebook.com/seppiko
YouTube(播磨日本酒プロジェクト):
https://youtube.com/@harimanihonshu
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