地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。今回は、福岡県みやま市の菊美人酒造を特集します。
花のように贈る、力強く美しい酒

―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
1735年(約290年前)、福岡県の瀬高にて創業しました。
水が良いこの地で酒を造るよう、柳川藩のお殿様の命を受けたのが始まりです。
江戸時代から今まで、私たちが大切にしてきたのは、米のうまみを凝縮した豊かな味わいです。
その理由は、柳川藩の人々の暮らしに寄り添うため。豊かな穀倉地帯である柳川藩では、農作業に励む人々の渇きを潤す芳醇さが求められていました。福岡の中でも特に濃い味付けが特徴の柳川の郷土料理に負けず、料理の味を引き立てる酒であることも重要でした。
その結果生まれたのが、現代のメイン料理にも引けを取らない力強い味わいです。クリームソース、回鍋肉、ムニエル、うに、カマンベールチーズなど味わいの濃い様々な料理との相性の良さが、私たちの酒の特徴です。
2025年に「花を贈るように」という言葉を掲げ、菊美人の装いを一新しました。
思いを込めて贈られた花が大切な人の暮らしを彩るように、私たちのお酒もまた、人々の食卓を華やかに演出し、素敵なひとときをお届けできることを願っています。
―代表銘柄は?

「 菊美人 純米吟醸 夕凪」
アルコール度数:15%
原料米:山田錦 55%
酵母:福岡県酵母
お薦めの飲み方:冷やまたはぬる燗
おすすめのペアリング:出汁巻き卵、鳥の照り焼き、クリームソースのパスタ、カマンベールチーズ

「 菊美人 純米大吟醸 花冠」
アルコール度数:15%
原料米:山田錦 40%
酵母:福岡県酵母
お薦めの飲み方:冷や
おすすめのペアリング:うに、白身魚のムニエル、ホタテのバターソテー、豚肉の甘酢炒め
手をかけ、時をかけ、味が澄む

―酒造りで心がけていることは?
菊美人は従来より、瀬高のお酒として味わい豊かな酒を作ってきました。この特徴は変えずに、バランスよく綺麗な味わいにすることを目指しています。
最後の味わいを決める「しぼり」では、一般的な機械しぼりではなく伝統的な「槽しぼり」に回帰しました。お酒のもと(もろみ)を詰めた酒袋を槽の中に一つ一つ丁寧に手詰めします。強い圧力をかけて酒をしぼりきることはできません。人の手をかけることを惜しまず、丁寧に雑味を取り除きます。それにより澄んだ味わいの中に旨みを感じる菊美人の酒が生まれています。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
菊美人の隣町、柳川には930km、東京から博多間と同等の長さの水路が張り巡らされています。2000年前に生活用水のため、治水のため、戦国時代には城堀として整備されてきました。今では堀割を船で下る、川下りに多くの観光客の方がいらっしゃっています。
また、柳川が産んだ詩聖 北原白秋の生家もあります。白秋は菊美人とゆかりも深く、菊美人の6代目蔵元に北原家から加代が嫁いできました。菊美人は白秋を物心両面で支え、晩年は菊美人に逗留しています。「菊美人」のラベルの題字は白秋の直筆のものです。
蔵見学に関しましては、要予約・10名以上でいらしてください。蔵のご説明とご試飲の対応となります。
今回ご紹介した酒蔵について
【福岡県】
菊美人酒造株式会社
福岡県みやま市瀬高町上庄183番地
https://kikubijin.co.jp/
