地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。当記事では、長野県千曲市(ちくまし)の長野銘醸(ながのめいじょう)を特集します。
伝統と革新を融合する酒造り
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
元禄2年(1689年)、松尾芭蕉も恋した月の名所「姨捨」の地で創業しました。
以来三百有余年、当時のままの酒蔵で昔ながらの手造り純米酒を醸し続けています。
現存する仕込み蔵、貯蔵蔵、米蔵など12の建造物が国の登録有形文化財に指定されています。
近年は、次の三百年に向けて、これまで培ってきた伝統・技術・情熱を継承しながら、新しい発想を融合させ、日本酒の魅力発見をテーマとする商品企画開発にも注力しています。
―代表銘柄は?
「棚田」
「地元の原材料だけで地域に根差した日本酒を造りたい」。蔵人と契約酒米農家のそんな熱い想いが込められた『棚田』。
四季折々の料理に合わせやすい、キレ良く飽きのこない酒質が特徴で、日本酒を飲み慣れていない女性にもおススメです。
ラベルには、いくつもの水田に光り輝く月が映りこむ幻想的な風景「田毎の月」を描きました。
地元・姨捨棚田で契約栽培された酒米と、その棚田も潤す良質な水で仕込んだ特別純米酒。
白ワインを思わせる爽やかな香りと、ほのかに広がるお米のうま味、スッキリとした軽快な飲み口が特徴です。
おいしさと美しさ、姨捨棚田だけでデザインされた唯一無二の地酒をぜひお楽しみください。
お薦めの料理:料理を惹き立てる食中酒に仕上げており、特に魚介の和風メニューや、素材の味を生かしたイタリアンとの相性が抜群。夏はアユの塩焼きや真鯛のカルパッチョと冷酒、冬はブリ大根や魚のソテーとぬる燗のマリアージュがおススメです。
「オバステ正宗」
江戸時代から現在に至るまで地元にてご愛顧いただいている『オバステ正宗』。
「毎日のお供に、味わい深く、身体に優しいお酒を飲んで欲しい」を信条に、昔ながらの手造り製法で100%純米酒にこだわり仕込んでいます。
ラベルは地元姨捨の象徴「棚田」「名月」「千曲川」をかわいらしくレトロ風に表現。飲んでおいしい、目にも楽しい銘酒です。
地産地消の日本酒造りと地域貢献
―酒造りで心がけていることは?
「長年当蔵をご支援いただいている地元へ貢献する」ことを理念に、地産地消にこだわった安心・安全な日本酒造りを追求しています。
生産者とのコミュニケーションも大切にしており、春は草刈り、夏は田植え、秋は稲刈りと、米作りの手伝いを定期的に実施。美酒の源となる酒米の生育にも愛情を注いでいます。
この地で生まれ育った杜氏は、自らが醸したお酒が地域の振興・発展、そして幸福へと繋がることを心より願っています。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
地元・姨捨棚田の「田毎の月」に匹敵する見どころは「あんず」。
長野県千曲市は「日本一のあんずの里」と呼ばれ、春はお花見、初夏はあんず狩りを楽しむ多くのツーリストで賑わいます。
あんずシーズンにぜひお召し上がりいただきたいのが、日本酒仕込み水を使って製造した『信州千曲 あんずサイダー』。
当蔵の人気商品のひとつで、爽やかな香りと甘すぎず清涼感のある飲み口は、つい飲みすぎてしまうと評判です。
―最後に、読者へのメッセージをお願いします!
長野銘醸直売所では、蔵元ならではのフレッシュでおいしいお酒を全て無料でご試飲いただけます。
また、敷地内にあるレトロな煙突や立派な松、ナツメの木は必見です。
環境・建物の古さと、スタッフのチームワークの良さだけが取り柄の小さな酒蔵ですが、北信濃エリアにお越し際は、ぜひお立ち寄りいただけると嬉しく思います。
読者の皆様とお酒を楽しみながら直接交流できることを楽しみにしています。
今回ご紹介した酒蔵について
【長野県】
長野銘醸株式会社
長野県千曲市大字八幡275
https://www.obasute.co.jp/