地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第48回目の当記事では、京都府京丹後市(きょうとふきょうたんごし)の白杉酒造(しらすぎしゅぞう)株式会社を特集します。
4人で約250年の歴史を守り、日本で唯一全量食用米のみで日本酒を造る
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
白杉酒造は、全量食用米のみで日本酒を造る、日本で唯一の酒蔵です。
白杉酒造のある京都府京丹後市は、京都の日本海側に面した丹後(たんご)と呼ばれる地域に位置しています。
丹後は昔から小さな酒蔵が多く、白杉酒造も杜氏 兼 社長の白杉悟を含め4人の小さな酒蔵ですが、蔵の歴史は古く創業は1777年(安永6年)と約250年の歴史があります。
白杉酒造も、元々は地元だけで飲まれる普通酒をメインに造っていましたが、人口の減少や若者の日本酒離れなどに危機感を覚え、現在の11代目蔵元である白杉悟が酒造好適米を使わず、地元丹後の美味しい食用米で自分たちにしか造れない酒を造ることができないかと試行錯誤を重ね、今は全量食用米のみで日本酒を造る日本で唯一の酒蔵となっています。
―代表銘柄は?
代表銘柄は「白木久(しらきく)」です。
白杉酒造の「杉」は昔、「杦(木へんに久)」と書いて「すぎ」と呼んでいたので、そこから取って「白木久」という銘柄にしました。今は造ったお酒のイメージなどから、漢字の白木久だけでなくローマ字で「shirakiku」と表示する場合や、「BLACKSWAN」「MIRRORMIRROR」など白木久以外の名前を付けている商品もあります。
地元丹後産のササニシキを使用した日本酒は、燗も冷やも楽しめる
―イチオシ商品はなんですか? 地元の食材・料理とはどんな合わせ方がおいしいですか?
地元丹後の魚や蟹など海の幸によく合う日本酒として、地元丹後産のササニシキを使用した純米無濾過原酒の「銀シャリ」がおすすめです。
「銀シャリ」は、シャープでドライな飲み口ながら、ごはんとして食べても美味しいササニシキの米本来の旨味を存分に感じることができる一本に仕上げています。
ササニシキはお寿司のシャリにも使われているお米であるため、「銀シャリ」は刺身やお寿司など和食全般との相性がとても良く、飲み方も冷やがおすすめですが、燗にすると酸味の角が取れてまろやかな旨味が味わえるため、幅広い温度帯で楽しむことができます。
―酒造りで心がけていることは?
酒造りにおいてはアルコール消毒やニトリル手袋を使うなど、徹底した衛生管理を行っています。
また、モチベーションを維持するために、毎年誰も造ったことがないような新しい日本酒造りに挑戦するようにしています。
このため、他の蔵の様々な新しい日本酒を飲んで勉強しています。
個性豊かな酒造が集まる丹後は移住先としても近年人気に
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
丹後は、個性豊かな酒蔵が数多くあります。
丹後では白杉酒造のほかに、イギリス人杜氏が酵母無添加の酒造りに力を入れている木下酒造や、赤米を使った甘酸っぱい果実酒のようなお酒を造る向井酒造など、個性豊かな酒蔵が数多くあります。
また、観光としては日本三景の一つである天橋立や、綺麗な夕陽を見ることができます。冬場は蟹が美味しい夕日ヶ浦温泉などがあり、自然が豊かで食べ物が美味しい丹後は近年都会からの移住先としても人気が出てきています。
―最後に、読者へのメッセージをお願いします!
コロナ禍により日本酒を飲む機会が少なくなっていると思いますが、お酒は人を笑顔にして人生を豊かにしてくれる飲み物ですので、ぜひ美味しい食用米で造った白杉酒造の日本酒を楽しんでいただければと思います。
これからも美味しいお酒をお届けできるよう蔵人全員で頑張っていきますので、今後も白杉酒造をどうぞよろしくお願いいたします。
今回ご紹介した酒蔵について
白杉酒造株式会社
https://shirakiku.shopinfo.jp/
京都府京丹後市大宮町周枳954
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