地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第302回目の当記事では、宮城県気仙沼市(けせんぬまし)の男山本店(おとこやまほんてん)を特集します。
震災を乗り越え、海と共に歩む男山本店の100年
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
男山本店は1912年創業。日本有数の港町 気仙沼市で100年以上酒造りを続けている酒蔵です。
気仙沼の蒼い空や海を彷彿とさせる澄んだ味わいのお酒「蒼天伝」を始め「気仙沼男山」「美禄」など個性ある日本酒を醸しています。
2011年の東日本大震災では本社屋全壊など大きな被害を受けましたが、多くの方々からのご支援により、現在も酒造りを続けることができています。
成り立ち、歴史ともに海と歩んできた酒蔵です。
―代表銘柄は?
「蒼天伝 特別純米」
蒼い空や海のような澄んだ味わい、そして魚介と合わせて美味しいというテーマのもと開発された日本酒で、2022年には20周年を迎えました。
気仙沼ではこの蒼天伝特別純米をソーダ割で楽しむ「蒼天伝ハイボール」も親しまれています。
お薦めの飲み方:冷や、ソーダ割(蒼天伝ハイボール)
―イチオシ商品はなんですか?
「蒼天伝 FLYING BIRD」
FLYING BIRDは、「幸運の青い鳥」をイメージして昨年開発された、一般販売無しの飲食店限定酒です。
杜氏が出荷を判断した時のみ不定期で発売される生原酒のシリーズで、飲食店でしか飲むことができません。まさに出会ったらラッキーな幸せを運ぶ青い鳥。
毎回スペックも異なりますが、蒼天伝の基本線「すっきりとしたキレのある味わい」は継承していますので、気仙沼の脂の乗ったお刺身との相性は抜群です。
お薦めの飲み方:冷や
地元産米と魚介に合う酒造りへのこだわり
―酒造りで心がけていることは?
宮城県産の原料でお酒を造るということです。
宮城県の固有酒米、「蔵の華」を始め、2020年にリリースされた新酒米「吟のいろは」、そして食用米など宮城県産のお米を使用したお酒造りにこだわっています。
また、お酒を通して街の風土を発信するために、味わいとして「魚介と合わせて美味しい」ということを常に考えています。
具体的には淡麗軽快で綺麗な酒質を目指し、工程の細部まで気を配ることを心がけています。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
気仙沼では季節によって異なる海の幸を楽しむことができるのが1番の魅力です。
その中でも鰹(夏〜秋)、メカジキ(冬)などは日本一の水揚げ量を誇り、是非とも味わっていただきたい食材です。
また、2021年のNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」の舞台でもあり、市内には撮影で使用されたロケーションがいくつもあります。
海だけでなく山のアクティビティも盛んで、トレッキング(オルレ)なども楽しむことができます。
―最後に、読者へのメッセージをお願いします!
私たちは日本酒を、皆様に楽しさや感動をお届けするエンターテインメントだと考えています。
そのために日々技術を磨き、どのようなお酒を造るか検討しています。それぞれのお酒には異なる意味や思いが込められていますので、ぜひそれを感じながら楽しんでいただけると幸いです。
また私たちのお酒は気仙沼の歴史の中で生まれたお酒です。機会があればぜひ気仙沼の食と一緒に召し上がっていただければと思います。
今回ご紹介した酒蔵について
【宮城県】
株式会社男山本店
宮城県気仙沼市入沢3−8
https://www.kesennuma.co.jp/