地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第293回目の当記事では、愛媛県今治市(いまばりし)の八木酒造部(やぎしゅぞうぶ)を特集します。
今治市で続く八木酒造部の歴史と再生
―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
弊社は天保二年(1831年)に初代八木治兵衛が愛媛県今治市で創業しました。
最初は醤油の製造から始まり、3年後に清酒の製造を始めました。
後に醤油製造と清酒製造で分家し、清酒製造の八木家が法人化の際に株式会社八木酒造部となりました。
今治市は戦時中に空襲に会い、八木酒造部も全焼しましたが、翌年には酒造を再開しました。
平成20年に8代目の八木伸樹が社長になり、現在に至ります。
―代表銘柄は?
「山丹正宗 しずく媛 純米吟醸」
愛媛産米と愛媛県酵母で仕込んだ、フルーティかつドライな純米吟醸。
ワイングラスでおいしい日本酒アワード2020最高金賞
お薦めの飲み方:よく冷やして、ワイングラスで
―イチオシ商品はなんですか?
「山丹正宗 刀」
山丹正宗の「正宗」が銘刀正宗から来ていることから、切れ味の良い刀をイメージした酒質とパッケージに仕上げました。
愛媛県産の酒米「しずく媛」を40%まで精米し、クリアさにこだわった純米大吟醸です。
お薦めの料理:今治の海は潮の流れが速く、瀬戸内でも最も良い鯛が獲れるといわれており、その身が締まった鯛の煮つけや塩焼き、鯛めしなどが最高に合います。
老舗の伝統と革新への挑戦
―酒造りで心がけていることは?
「地元あっての地酒」として、地元の風土、文化、素材に根差した酒でありたいと考えています。
「とにかくきれいな酒」を目指して、徹底した衛生管理と丁寧な手造り、適切な貯蔵管理に努めています。
「いつまでも老舗として継続」するために、伝統を守りつつ、常に新しいことにチャレンジし続けます。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
今治市と広島県尾道市を結ぶ「しまなみ海道」が、海の上を自転車で渡れる稀有なサイクリングコースとしてナショナルサイクリングコースに認定され、「サイクリストの聖地」として世界中から注目されています。
また2022年11月から今治港にて毎月第2、第4日曜日に「せとうちみなとマルシェ」という朝市が開かれるようになり、新鮮な魚介類や農産物、様々な料理目当てに大勢の人が集まっています。
―最後に、読者へのメッセージをお願いします!
2021年に杜氏が世代交代し、若い石田杜氏が酒造りを先導しています。
今期(2022年)の造りでは新たな挑戦として、愛媛県の新酵母「愛媛さくらひめ酵母」と、室町時代の酒造方法である「水もと」にチャレンジしました。
これからも若い力で挑戦し続け、「心に沁みわたる酒」を追求していきますので、是非これからの「山丹正宗」を楽しみにしてください。
今回ご紹介した酒蔵について
【愛媛県】
株式会社八木酒造部
愛媛県今治市旭町3-3-8
https://www.yamatan.jp/