地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第303回目の当記事では、千葉県御宿町(おんじゅくまち)の岩瀬酒造(いわせしゅぞう)を特集します。
300年の歴史を誇る岩瀬酒造、超硬水を使った酒造りの秘密

―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
岩瀬酒造の創業は、享保八年(1723年)と伝えられ、名前の由来は「岩瀬の井戸」で『岩の井』
『岩の井』のお酒の一番の特徴は、仕込み水に超硬水を使用した酒造りを行っております。
岩瀬酒造は海岸近くに酒蔵あり、酒造りに使用している水は、貝殻の地層を通った地下水で、その地下水の硬度は約240度あり、酒造りに使用する水では日本屈指の硬水となります。
―代表銘柄は?

「岩の井、i240(米違いシリーズ)」
名前の由来は、「岩の井」の頭文字『i』と岩の井の一番の特徴である水に硬度『240』から名前を付けました。
硬水仕込みならではの酸味と、米本来の甘みと、ミネラルより感じられる苦味が、力強く複雑な味わいを造り出し、香り・甘さは抑えめにすることにより、飲み飽きせずに、和食に限らず様々な食事にも合わせやすく、ワインで例えるとフルボディタイプの日本酒を目指しております。
―イチオシ商品はなんですか?

「岩の井 i240五百万石(純米吟醸、無濾過生原酒)」
しっかりした酸味と舌先に感じるラムネの様な発泡感。
五百万石というと端麗辛口のお酒の印象だが、端麗辛口である共に強い旨みを兼ね備え、すっきりしながらボリュームのある味わいに仕上げてます。
お薦めの飲み方:しっかり冷して、ワイングラスなどで飲んでいただくのがお勧です。
地元料理との合わせ方:刺身、寿司、なめろう、魚の塩焼き・西京焼き、鰺の干物、スモークサーモン、ローストビーフ、アクアパッツァ、アヒージョ、チーズ
南房総の硬水が生み出す唯一無二の味わい、岩瀬酒造の挑戦

―酒造りで心がけていることは?
酒造りに使用する水では日本屈指の硬水で仕込んでいるうえに、千葉県御宿町という南房総の温暖な気候により、お酒の発酵が進み、酸が多くなりやすいですが、「最高に心地いい美味しい酸味」を追求し、硬水仕込みならではの、他では飲めないお酒を目指しております。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
御宿町は千葉県の南東、房総半島の東に位置する小さな町で、気候は年間を通じて温暖。
海岸には約2kmに渡る真っ白な砂浜が広がり、毎年多くの海水浴客が訪れる房総を代表する海岸があり童謡『月の沙漠』発祥の地として知られています。
千葉県の伊勢えび漁は全国で一位、二位を争う水揚げ量を誇ります。御宿町では毎年9、10月に伊勢えび祭りが開催されます。
―最後に、読者へのメッセージをお願いします!
硬水仕込の『岩の井』では、柔らかく華やかな酒はできません。
万人受けする酒もできません。
だからこそ、この土地ならでは味わいが際立つ、唯一無二の個性派のお酒をお試しいただけますと嬉しいです。
今回ご紹介した酒蔵について
【千葉県】
岩瀬酒造株式会社
千葉県夷隅郡御宿町久保1916
https://www.iwanoi.com/index.html