地域で愛される酒蔵の銘酒に着目し、酒蔵からの生の声と和酒情報を読者の皆様にお届けする連載企画。第274回目の当記事では、新潟県新発田市(しばたし)の王紋酒造(おうもんしゅぞう)を特集します。
新発田藩と市島家の420年

―酒蔵の歴史や地域について教えて下さい。
当蔵の総本家「市島家」は、約420年前の慶長3年(1598年)に、加賀大聖寺より越後新発田藩に移封された溝口侯に随伴して当地に移住しました。
市島家は薬種問屋を始め、酒造、金融、回船業などで商業資本を蓄積する一方、沼澤の多い荒蕪の土地を意欲的に開拓し、最盛時には4800町歩の田畑山林を所有する全国屈指の大地主となりました。
当蔵は初代市島秀松が寛政年間(1790年代)に宗家より分家し、現在の地にて酒造りを開始しました。
創業時の銘柄は、諏訪神社前に位置したことから「諏訪盛」でした。歴代蔵元は学を好み、江戸文人との交流を通して後進を指導するなど新発田の文化に貢献しながら、営々と酒造りを続けてきました。
―代表銘柄は?

「王紋」
150年前、蔵元4代目がヨーロッパに魅せられ『王家の紋章』からインスピレーションを得たことで生まれた銘柄が、この【王紋】です。
毎日の晩酌用からご贈答用まで幅広いラインナップでお届けしています。
―イチオシ商品はなんですか?

「王紋 大吟醸」
新潟の酒米『越淡麗』を40%までみがき、低温熟成でじっくりと仕上げました。芳醇な香りとキレの良いほどよい辛さが特徴。高級感のある味わいです。
「kura master2024金賞」受賞いたしました。
お薦めの飲み方:冷や、常温
地元料理との合わせ方:新発田の郷土料理 小煮物
230年続く新潟清酒の技術と情熱

―酒造りで心がけていることは?
230年前から引き継がれた変わらない思いを持ち続け、地元の良質な米と水、酒造りに適した気候、そして歴史を重んじながらも進化し続ける越後杜氏の技術から生まれる清酒。
良質で芳醇、とてもまろやかな口当たりの新潟清酒を作り続けています。
―酒蔵や地域、観光などでオススメポイントや盛り上がっている話題を教えて下さい。
大倉喜八郎別邸の「蔵春閣」、大倉財団から寄贈された石塔を有する「大倉庭園」、歴史と文化に触れることができる「寺町めぐり」等。
―最後に、読者へのメッセージをお願いします!
歴史と文化の町、新発田市に実際に足を運んでいただき、王紋酒造のこだわりの酒を味わっていただけますと幸いです。
今回ご紹介した酒蔵について
【新潟県】
王紋酒造株式会社
新潟県新発田市本町1丁目7番5号
https://aumont.jp/